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「いつまで?」をやめて、「何が揃えば?」に変える。
締切日を3回ずらした週に、私は“日付”ではなく“材料不足”で遅れていると認めた。
元社長の反省はこうだ。期日を詰めても、着手条件が曖昧なら仕事は進まない。だから私は会議で「いつまで?」を封印し、「何が揃えば着手できる?」だけを聞いた。
その日から、プロジェクトは止まらなくなった。鍵は“Readyの定義(Definition of Ready)”——開始条件を文書で固定することだ。

こんな人に読んでほしい
- 期日は守っているのに、アウトプットの質と速度が安定しない経営者・責任者
- 依頼のたびに「もう少し情報を…」と往復が発生して疲弊するチーム
- “手戻り”と“待ち”を減らし、前倒しで進めたいプロジェクトマネージャー
この記事で伝えたいこと
- 締切は“日付”ではなく“開始条件”という視点
- Readyの定義テンプレ(7条件)と実装手順(15分)
- 明日から使える依頼フォーム&引き継ぎメッセージ
1. Readyとの出会いで変わったこと
以前の私は「◯日までにお願い」で依頼していた。結果、着手が遅れ、初稿の質もブレる。
そこで、全案件でReadyの定義を先に貼り出した。準備が揃う前は「未Ready=受け付けない」。厳しさではなく、現場の安全装置だ。
Readyの定義(テンプレ|7条件)
- ① 目的と成功指標(KPI/数字)
- ② 対象と範囲(入/外を列挙)
- ③ 最終アウトプットの型(例:スライド10枚/LP1本/SQL)
- ④ 必要素材の在処(データ/画像/権限/過去資産)
- ⑤ 決裁者とレビュー体制(誰が/何分で見るか)
- ⑥ 依存タスクの完了宣言(例:計測タグ発火OK)
- ⑦ 連絡経路とSLA(質問→何分以内に誰が返すか)
これを徹底してから、待ち時間が-46%、手戻りが-39%(社内運用実績)。何より、着手が“スッ”と始まるようになった。
2. 比べないことが教えてくれたもの
他社のWBSや巨大テンプレを真似しても続かない。元社長の私が腹落ちしたのは、Readyは“最低限でいい”ということ。
現場が覚えられる7条件に固定し、未Readyなら断る。これがチームの生産性を守る最小ルールだった。
- 短く・見える場所に:案件チャンネルのピン留め or 壁1枚
- 数値で線を引く:「素材90%未満=未Ready」など閾値化
- レビューは時間予約:「毎日11:45に5分」など“枠”で運用
3. それでも前に進む理由
私は「急ぎだから始めて!」と頼んで、早く遅れるという最悪の結果を何度も作った。
Readyを決めると、開始=合意になる。以後のやり取りは「条件を満たす/外す」の議論になり、情緒ではなく事実で進む。
依頼フォーム(コピペ可|Notion/フォーム想定)
目的/KPI:____(例:CVR+15%)
範囲(入/外):入=__/外=__
アウトプット:__(例:スライド10枚)
素材URL:__(画像/データ/権限)
決裁者/レビュー:__(◯日◯時/5分)
依存タスク:__(完了/未完)
連絡/SLA:#proj-◯◯(営業時間中30分以内)
引き継ぎメッセージ(Slack)
【Ready宣言】案件名:
①目的/KPI:__ ②範囲:__ ③出力:__
④素材:__ ⑤決裁/レビュー:__ ⑥依存:完了
⑦連絡/SLA:#proj-◯◯(30分)
→ Ready OK。明日9:30着手、初稿は11:45レビュー枠で確認。
まとめ
- 締切=日付ではなく、開始条件(Ready)を先に決める
- 7条件(目的/範囲/出力/素材/決裁/依存/連絡)を壁1枚に固定
- 未Readyは断る勇気が、最速の近道になる
次回予告
vol.74『レビューは“5分×毎日”——粗いまま出す勇気が品質を上げた』
次回は、週1の完璧レビューをやめた話。毎日5分の連続レビューに切り替えて、手戻りと摩擦が激減した運用と台本を公開します。
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