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完璧を待つ1週間より、粗い5分を毎日。
「まだ見せられない」——この一言が、納期も品質も壊していた。
元社長の私は、週一の“盛大なレビュー会”で現場を追い込んできた。だが本当に効いたのは、粗いまま5分で出す、毎日の小さな往復だった。
以降、手戻りは薄く、歩留まりは上がり、完成は“近づく”のではなく“立ち上がる”ようになった。

こんな人に読んでほしい
- レビュー会のたびに大幅手戻りが発生して疲弊している経営者・責任者
- 「もう少し整えてから…」で初稿が遅れがちなチーム
- 短サイクルで品質とスピードを両立させたいプロジェクトマネージャー
この記事で伝えたいこと
- 「粗いまま出す」ための安全設計(期待値の固定と範囲の限定)
- 5分×毎日の運用フォーマット(サンプル・台本・ログ化)
- 明日から使える“レビュー依頼テンプレ”と“赤入れのルール”
1. “5分×毎日”との出会いで変わったこと
以前の私たちは、週一で30〜60分のレビュー会。初稿が重く、指摘は山盛り、翌週に先送り。
思い切って、毎日5分・粗いまま提出・その場で次の1手だけ決めるに変更した。
- 時間:毎日11:45–11:50(全員立ち・画面共有1枚のみ)
- 範囲:その日の進捗スナップ1点(例:見出し案/SQLのWHERE句/モック1画面)
- 成果:手戻り-37%、初稿提出前倒し+2.1日(社内実績)
コツは、品質を語らず“次の5分で直せる1点”だけを決めること。積み上げるほど、最終日に“直す場所がない”状態に近づく。
2. 比べないことが教えてくれたもの
他社の完璧な“レビュープロセス図”を真似ても続かない。元社長の私が掴んだのは、レビューは儀式ではなく“毎日の運動”だということ。
- 期待値を固定:「粗さOK・誤字OK・背景説明は60秒まで」を明文化
- 言い方を固定:主観禁止、「事実・数値・比較」のみで赤入れ
- 量を固定:フィードバックは最大3点(増えたら明日へ切り出す)
比べない運用は軽い。軽い運用は毎日回る。毎日回るなら、品質は勝手に上がる。
3. それでも前に進む理由(テンプレ&台本)
レビュー依頼テンプレ(Slack/メール|コピペ可)
件名:[5分レビュー] 本日のスナップ(◯◯案/ver0.2)
目的:明日のA/B候補を1つに絞る
見るところ:①見出しの訴求 ②CTA文言 ③余白の使い方
判断:A=採用 B=修正(点数/箇所) C=保留(不足データ)
期限:11:45-11:50(5分・立ち)
5分レビュー台本(進行)
- 投稿者:30秒で目的と“見てほしい3点”を宣言
- レビュアー:各自1点ずつ、事実/数値/比較でコメント(合計2分)
- 決定:A/B/Cを即決→次の修正にかける時間を宣言(1〜5分)
- ログ:スクショを貼って“変えた箇所”だけ記録(自動で履歴)
赤入れのルール(壁貼り用)
- 赤は“否定”ではなく“次の一手”——指摘は動詞で書く(例:
見出しを名詞始まりに
) - 「もっと良く」は禁止。
数字を入れる/削る/順番を変える
の3択に帰着 - 迷ったら「B案を1分で作って、並べて決める」
まとめ
- 週一の大レビューより、毎日の小レビューが手戻りを溶かす
- 期待値・言い方・量を固定し、“次の5分”で直す設計に
- 粗いまま出す勇気が、完成を最短距離で連れてくる
次回予告
vol.75『承認は2択だけ——“A/Bボタン”で社内が止まらなくなった』
次回は、承認プロセスを“文章”からボタン2つに変えた話。稟議の渋滞を解消した設計(閾値・ログ・却下理由テンプレ)を公開します。
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