焦らず撒いた一粒が、やがて営業を救った。
短期の数字に追われ、「今すぐ成果」に固執していた。
結果を急ぐあまり、関係づくりや検証の時間を削り、施策は空回り。
けれど、足を止めて“種まき”を意識した瞬間から、商談の質も紹介の連鎖も変わり始めた。今日は「成果の前段」を積み上げる営業に切り替えた失敗と学びの記録。

こんな人に読んでほしい
- 毎月の数字に追われ、打ち手が細切れになっている経営者・営業責任者
- 見込み客との関係が浅く、失注が続いているチームリーダー
- 長期育成(リードナーチャリング)に踏み切れず悩んでいる人
この記事で伝えたいこと
- 短期KPIだけでは営業は痩せる——種まき(前工程KPI)の設計が要
- 「関係・検証・蓄積」を仕組みにする自律的な営業運用
- いま種をまく勇気が、数ヶ月後の再現性を生む
1. 「今月の数字」に潰された現場
元社長として私がやった最大の過ちは、短期の刈り取りに偏ったマネジメントだ。
毎週の会議はクロージング件数だけを追い、関係構築や検証の時間は「非効率」と切り捨てた。
その結果、商談は浅く、単価は下がり、値引き依存が常態化。紹介も生まれない。
“いまの売上”の裏側で、“未来の売上”の芽を自ら摘んでいた。
2. 種まきの設計——前工程KPIを可視化する
そこで発想を転換し、成果の前段をKPI化した。例えば:
・ターゲット顧客との価値接点(課題ヒアリング/共創MTG)件数
・提案前の検証(ミニPoC・無料診断ではなく限定検証)の実施比率
・導入企業内の“複数担当者”との関係密度(面談人数/DMU網羅)
・失注理由のタグ化と学習反映スピード(翌週の提案に反映された件数)
これらを週次でレビューし、クロージングだけを称賛しない文化に置き換えた。
3. 焦りを飼い慣らす——時間軸を複線化する
当然、すぐには売上に反映されない。焦りは出る。そこで運用を複線化した。
短期:既存案件の阻害要因を1つずつ外すタスク管理(決裁・競合・条件)
中期:価値検証の型化(テンプレ提案→検証設計→再提案の三段運用)
長期:関係蓄積の仕組み(四半期ごとの価値提供タッチ、紹介動線の設計)
「いま売る」と「後で効く」を同時に回すことで、現場の息切れが減った。
まとめ
- 短期KPIだけでは営業は痩せる——前工程KPIを設計して回す
- 関係・検証・蓄積を“仕組み化”し、称賛の基準を変える
- 時間軸を複線化し、焦りを成果の土に変える
次回予告
vol.16『焦りの中で、大切なものを見失いかけた』
短期の成果に偏った判断で、なぜチームの信頼と商談品質を落としてしまったのか。立て直しの手順まで、具体的に書きます。
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