“数”より“次”。その場で約束をつくれたかが勝負。
「今日も束だけ増えた——案件は0。」
元社長の私は、懇親会で名刺を配り尽くし、翌朝CRMに入力して満足していた。けれど、3週間後の受注はゼロ。原因は明確で、「会う約束」をその場で作れていなかったからだ。やり方を、“枚数”収集から“次の約束”設計に切り替えた。
結果、名刺枚数は半減したのに、面談化率と受注見込みは倍になった。

こんな人に読んでほしい
- 交流会・懇親会に時間も費用も投下しているのに案件化しない経営者
- 名刺交換は多いが、翌週のカレンダーが埋まらない人
- 「紹介を生む場づくり」をチームに仕組み化したい営業責任者
この記事で伝えたいこと
- 懇親会は“情報交換の場”ではなく“次の約束を作る場”という視点
- その場で使える「アポ前提の3質問」と「30秒自己紹介」の型
- 翌朝の“90秒フォロー”運用と、案件化までのKPI設計
1. 歩き方を変えたら何が変わったか
以前:
・自己紹介が長い/事業説明が抽象的/名刺→SNS交換→解散。
・翌朝一括お礼DM「昨日はありがとうございました」→反応薄。
変更点:
①30秒自己紹介(肩書×誰の何をどう良くする)
「◯◯業界の“在庫で資金が寝る”課題を、30日で現金化する仕組みを作っています。」
②アポ前提の3質問
・「今期“ここだけは改善したい”テーマは何ですか?」
・「そのテーマ、社内で誰がKPI持っていますか?」
・「15分だけ、他社の成功失敗データを共有したら役に立ちます?」
③その場で仮押さえ
「火10:30/水16:00の15分ならすぐ取れます。どちらが動きやすいですか?」とスマホのカレンダーを開く(相手の目の前で)。
これだけで面談化率が12%→28%に。名刺は半分になったが、カレンダーには“約束”が残った。
2. 比べないことが教えてくれたもの
「あの会社は豪華なブース」「名刺の束が分厚い」—比べるほど本筋を外す。私が比べる対象を他社の露出から自分の“次の約束率”に変えたら、行動がシンプルになった。
運用ルール:
・1イベントの目標は「名刺◯枚」ではなく、“翌週の15分×3枠”
・話す:聞く=2:8(相手のKPIと課題語を引き出す)
・「その場で価値」を1つ渡す(チェックリスト/ベンチマーク数値/事例の要点のどれかを口頭で)
・名刺交換は“約束が取れた相手のみ”に絞る(枚数稼ぎをやめる)
3. それでも前に進む理由
翌朝の90秒フォローを仕組みにした。テンプレは3行+1リンクのみ。
件名:昨日の続き/◯◯(イベント名)
本文:
「昨日は貴重なお時間ありがとうございました。在庫の現金化30日の要点を添付1枚にまとめました。
火10:30/水16:00で15分、お打合せいかがでしょう。別候補も歓迎です。
事例サマリ(1枚PDF):https://…」
KPIは、約束率(=当日仮押さえ÷会話数)/翌朝返信率/面談化率/商談化率。
週次で“話しかけ方のA/B(3質問の順番・言い回し)”と“翌朝の送信時刻(8:10/12:05)”を検証したら、面談化は右肩に乗った。
経営の仕事は、偶然の縁を再現可能にすること。場の歩き方を変えるだけで、数字は変わる。
まとめ
- 懇親会のKPIは「名刺数」ではなく「翌週の15分×◯枠」
- 30秒自己紹介+アポ前提の3質問+その場で仮押さえ
- 翌朝“90秒フォロー”をテンプレ化し、週次でA/B検証する
次回予告
vol.57『資料が刺さらない夜——“1枚事例”に直したら返信が返ってきた』
次回は、長い会社紹介資料で既読スルーを量産していた私が、事例1枚に絞ったことでアポ率が上がった話。構成テンプレと、送付メールの3行文面まで共有します。
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