vol.24『少しだけ、自分を信じてみる』

シリーズ①:Re:START NOTE|”止まりながら進む日々”

他人の正解よりも、小さな自分の納得。

「根拠は薄い。でも、これが正しい気がする」——経営の現場では、その“薄い根拠”が一歩目になる。

評判のメソッド、権威の言葉、競合の成功事例。それらに従って空回りした営業戦略を、私は“少しだけ自分を信じる”ことで立て直した。完璧な確信より、等身大の仮説と検証の連続。

迷ったら、まず1件の顧客の“変化”に賭ける。その選択が、組織の呼吸を取り戻した。

他人の正解ではなく、自分の一歩を信じて踏み出す瞬間

こんな人に読んでほしい

  • 流行の営業手法を試しても成果が安定しない経営者
  • 意思決定のたびに外部の“正解”を探して止まるリーダー
  • 小さな自信を取り戻す具体策が欲しい人

この記事で伝えたいこと

  • “少しだけ自分を信じる”を行動に落とす視点
  • 経営者自身の仮説形成と検証の進め方
  • 再出発のためのミニマムサイクルの作り方

1. 標準解に溺れて、現場が止まった日

ある時期、私は“勝ちパターン”のテンプレを社内に敷き詰めた。スクリプト、スコアリング、KPI…欠けているのは“納得”だけ。
商談は増えるが受注は伸びず、担当は「正解通りにやっているのに」と疲弊。レビューでは“手順の逸脱”ばかり指摘し、顧客の空気や違和感に目を向けられていなかった。
そこで一度、テンプレを外し、私の仮説を現場に混ぜた。「この顧客は“導入負荷”を一番気にしている。提案を半分に削って初速に寄せよう」。根拠は薄い。でも腹落ちした。結果は、初回のPoCで意思決定が前倒しになり、現場に「やっていいのか」という安心が生まれた。

2. 比べないことで戻ってきた営業の勘

競合の価格・機能・導入事例と自社を比べ続けるほど、提案は“盛り合わせ”になった。勝ち筋を外から借りるほど、負け筋に近づく皮肉。
私がやったのは3つだけ。
理想顧客像(ICP)の再定義:案件を3色(濃/中/薄)でラベリングし、濃い案件だけに経営レビューを集中。
価値仮説の一枚紙:機能列挙を捨て、「この顧客の“いま困っていること”→“導入後の一週間で変わること”」を1枚に。
ノイズ遮断:競合情報の収集頻度を月1回に制限。日次は顧客観察に使う。
比べるのを減らした分、顧客の沈黙や表情の変化に気づけるようになり、提案は軽く、刺さりやすくなった。

3. それでも進めたのは“小さな勝ち”を設計したから

自分を信じるといっても、大勝負は要らない。
私は営業サイクルを“1週間で検証できる粒度”に割った。
・初回ヒアリングは30分に圧縮、最後の5分で“価値仮説”をその場で言語化し、顧客に訂正してもらう。
・次回までに提供するのは、提案書ではなく“1ページの導入後1週間ロードマップ”。
・意思決定の停滞が見えたら、提案を足すのではなく“やめる提案”(やらない範囲の明確化)を入れる。
こうして“小さな勝ち”を積むほど、現場に自信が戻り、私自身も「自分の仮説で回せる」という手応えを取り戻した。

まとめ

  • 外の正解より、内側の仮説を小さく早く検証する
  • 比べる量を減らし、顧客の“いま”を見る時間を増やす
  • 勝ちは設計できる——1週間で積める“小さな勝ち”を作る

次回予告

vol.25『人と比べない練習』

次回は、競合や同業の数字に心を乱されないための“比べない設計”。営業指標、会議体、レビューの見直しで、現場の集中を取り戻した話を書きます。

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