vol.29『伴走しながら手放すタイミング』

シリーズ①:Re:START NOTE|”止まりながら進む日々”

手を離す怖さが、チームの成長を奪っていた。

「最後の詰めだけ見せて。」その一言が、現場を幼くした。

元社長だった私は、任せることの意味を理解したつもりで、結局は要所要所で口出ししてしまった。安心したい私の都合で、主体的に動き始めたチームの判断を奪っていたのだ。

今回書くのは、伴走から“手放す”へ切り替える合図と、失敗から学んだ具体的な基準である。

合図が揃ったら、伴走から“任せ切り”へ

こんな人に読んでほしい

  • 任せたつもりが、つい最終確認で差し戻してしまうリーダー
  • 手放した後の不安で、会議に口を出し過ぎてしまう管理職
  • チームの主体性を育てたいが、品質担保とのバランスに悩む経営者

この記事で伝えたいこと

  • 伴走から手放す“合図”と、私がやってしまったNG介入
  • 手放した後の支え方――数字とルールで見守る方法
  • 失敗を資産化する「リトロスペクティブ(ふりかえり)」の回し方

1. 伴走をやめられなかった失敗談

任せたプロジェクトで、私は「最終だけ見せて」と言い続けた。
結果、現場は“社長チェック待ち”が常態化。判断が先延ばしになり、スピードが落ちた。
しかも、私の一言で方向性が変わることが増え、メンバーは“正解探し”に戻ってしまう。主体性を芽生えさせたはずが、最後に自分で摘んでいたのだ。

2. 手放すタイミングの“合図”3つ

失敗を受けて、伴走から手放しへ切り替える「合図」を明文化した。
①仮説の言語化:やる理由・やらない理由が自分の言葉で語られている。
②検証リズム:短いサイクルで数値と学びが出ている(週1の軽いふりかえり)。
③責任の所在:「失敗したらこうする」が事前に合意されている(ロールバック手順と顧客連絡の持ち主)。
この3つが揃ったら、口は挟まない。私は“質問”と“数字”だけで関わると決めた。

3. 手放した後の支え方:数字だけ見て、ルールで守る

完全に任せ切る代わりに、KPI/KGIとアラートの閾値を共有した。
例)受注率・リードタイム・クレーム件数。しきい値を割ったときだけエスカレーション。
私は週次の15分で「数字→気づき→次の一手」の順で質問するだけ。是正案は現場が決める。
口を出さないことは不安だが、ルールと数字があれば、チームは自走力をつける。実際、私は会議時間が半分になり、現場の意思決定は2倍に早くなった。

まとめ

  • “最終チェック癖”は主体性を奪う。合図(仮説・検証・責任)で手放す
  • 介入は「答え」ではなく「質問」と「数字」だけにする
  • 不安はルールで担保し、失敗はふりかえりで資産化する

次回予告

vol.30『不介入の設計図——数字で支え、現場で決める』

完全に任せ切った後、私が意識した“見ない勇気”とモニタリング設計を、ダッシュボードと運用ルールの実例で解説します。

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