「声を聞いたつもり」が一番危険だった。
サーベイは回収率90%。だが、現場の不満は沈黙したままだった。
元社長の私は、定量化された満足度スコアを鵜呑みにし、「現場の声を拾っている」と思い込んでいた。しかし実際には、匿名性の低さや設問の誘導で、本音は埋もれ、形だけのサーベイに終わっていた。
この記事では、声を“聞いたつもり”で握りつぶしてしまった失敗と、その後どう信頼を取り戻したかを語る。

こんな人に読んでほしい
- 社員アンケートを実施しても現場感と乖離を感じる経営者
- 「声を拾っているのに不満が減らない」と悩む管理職
- 形だけのサーベイから脱却したい人事・組織担当者
この記事で伝えたいこと
- サーベイ設計で「声が歪む」メカニズム
- 本音を引き出す仕組みと対話の大切さ
- 失われた信頼を取り戻すステップ
1. サーベイ設計の落とし穴
当時のサーベイは「5段階満足度」と「自由記述」だけ。匿名と言いながらIPが記録され、現場は“誰が書いたか分かる”と感じていた。結果は高得点ばかりで、私も安心してしまった。だが現実は、離職率とクレームが増えていた。
2. 握りつぶした声が噴き出した瞬間
ある日、信頼していた中堅社員が退職面談で言った。「社長、サーベイで本音は書けません。どうせ握りつぶされるから」。胸に刺さった。私は“声を集める仕組み”を作ったつもりで、“声を塞ぐ仕組み”を作っていたのだ。
3. 信頼回復のためにやったこと
まずサーベイをやめ、代わりに小規模の「対話セッション」を導入。匿名性を保ちながら、第三者がファシリテートする形式に変えた。さらに、出てきた改善要望は必ず「いつ、どう対応するか」を公開した。
数字よりも、現場が「声を出せる」と実感すること。それが信頼を積み直す唯一の道だった。
まとめ
- サーベイは設計次第で「声を歪める」
- 匿名性・対話・アクションの3要素が信頼を守る鍵
- “聞いたつもり”が最も危険。声を出す体験そのものが信頼を生む
次回予告
vol.34『社員に任せたつもりの日——権限委譲の勘違いとやり直し』
現場に任せると言いながら、実際は「責任だけ押し付けていた」私。権限委譲の本質を学び直すきっかけになった失敗談をお伝えします。
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