数字は“人”を映さない。
グラフは右肩上がり。だが現場の空気は冷え切っていた。
元社長だった私は、KPIを万能薬のように扱っていた。売上、成約率、離職率…数字で管理できれば会社は良くなると信じ込んでいた。けれど、数字を追うほど人の声を聞かなくなり、チームは疲弊し、結局は数字すら落ちていった。
この記事では「数字偏重」が招いた失敗の実態と、数字と人を両立させるために必要だった視点を振り返る。

こんな人に読んでほしい
- KPIや数値目標に追われて疲れている人
- 現場の声が数字に反映されないことに違和感を抱くリーダー
- 数字管理と人のマネジメントのバランスに悩んでいる人
この記事で伝えたいこと
- KPI依存が生む落とし穴と実害
- 数字と人の声をどう統合するかの視点
- 持続可能なマネジメントのヒント
1. KPIに支配された日々
毎週の会議は数字の確認ばかりだった。売上グラフが基準を下回れば「努力が足りない」と責め、上回れば「さらに上を目指せ」と鼓舞する。だが現場は「数字のために働かされている」と感じ、モチベーションは下がる一方だった。
2. 数字では測れなかったもの
離職率は見えても、辞めた社員の本音は見えなかった。
成約率は上がっても、顧客の満足度は下がっていた。
「数字は真実」と信じ込んだ私は、実際には「数字が切り取った一部の現実」しか見ていなかったのだ。
3. 人の声と数字をつなぐ
痛い失敗から学んだのは「数字と人の声は両輪である」ということだった。
KPIを設定する前に現場と対話し、意味や背景を共有する。数字だけでなく「感情の変化」「お客様の声」も同じくらいの重みで扱う。
それを始めてようやく、数字も人の動きも安定しはじめた。
まとめ
- KPIは万能ではない。偏重すれば組織は疲弊する
- 数字は現実の“一部”しか映さない
- 数字と人の声をつなぐことが持続的な成長の鍵
次回予告
vol.37『社員の声を聞き逃した日——現場との断絶が生んだ代償』
次回は、数字に偏りすぎた後に待っていた「社員の声を無視したツケ」について。現場との断絶がどれほど経営を揺るがしたのかを振り返ります。
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