vol.5『社長を辞めると伝える日』

シリーズ①:Re:START NOTE|”止まりながら進む日々”

社長という肩書きを降りると決めた、その瞬間の静けさ。

「今日、辞任をお伝えします。」

何度もリハーサルした言葉は、口に出した瞬間に重さを失った。代わりにやって来たのは、静かな覚悟と次の責任だった。

社長を降りることは逃げではない。会社と自分の未来を守るための選択だと、はっきり言えるようになった。

会議室で、経営陣へ辞任を伝える瞬間

こんな人に読んでほしい

  • トップの立場から退く決断に迷っている人
  • 引き継ぎや関係性の悪化が不安で踏み出せない人
  • 「正しい伝え方」を知り、誠実に向き合いたい人

この記事で伝えたいこと

  • 辞任を伝える前の準備と順序の大切さ
  • 相手への配慮と自分の意思表示を両立させるコツ
  • 伝えた後すぐにやるべき実務と心の整え方

1. 伝える前に整えたこと(理由・順序・引き継ぎ)

まず「辞任の理由」を一文で言えるまで削ぎ落とした。次に伝える順序を決める。①取締役会/主要株主 → ②幹部 → ③社員 → ④取引先。
さらに、役割ごとの引き継ぎシート、実務タイムライン、問い合わせ窓口を用意。準備は不安を減らし、言葉に芯を与えてくれた。

2. その場で話したこと(誠実さと事実ベース)

会議の最後に「時間をください」と切り出し、①辞任の意思 ②理由(健康・適材適所・次の体制)③移行計画 の順で簡潔に伝えた。
感情の説明は最小限に、事実と計画を具体的に。批判や質問には「会社にとって最善を考えたい」と軸を置いて答えた。

3. 伝えた後にやったこと(最初の48時間)

全社員向けアナウンス文を発信し、即日で引き継ぎキックオフ。主要取引先には個別連絡で不安を先回り。
夜は一人で今日の記録を残し、感情を吐き出す。静けさの中で、次の一歩はすでに始まっていた。

まとめ

  • 辞任は敗走ではなく、組織と自分を守る選択
  • 理由・順序・引き継ぎを整えると、言葉は届く
  • 伝えた直後の48時間が信頼を支えるゴールデンタイム

次回予告

vol.6『ゼロからの再出発。最初の一歩は“整えること”だった』

肩書きを降ろした直後にやったのは、走り出すことではなく「整えること」。環境・習慣・心のリセット手順を書きます。

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