社長という肩書きを降りると決めた、その瞬間の静けさ。
「今日、辞任をお伝えします。」
何度もリハーサルした言葉は、口に出した瞬間に重さを失った。代わりにやって来たのは、静かな覚悟と次の責任だった。
社長を降りることは逃げではない。会社と自分の未来を守るための選択だと、はっきり言えるようになった。

こんな人に読んでほしい
- トップの立場から退く決断に迷っている人
- 引き継ぎや関係性の悪化が不安で踏み出せない人
- 「正しい伝え方」を知り、誠実に向き合いたい人
この記事で伝えたいこと
- 辞任を伝える前の準備と順序の大切さ
- 相手への配慮と自分の意思表示を両立させるコツ
- 伝えた後すぐにやるべき実務と心の整え方
1. 伝える前に整えたこと(理由・順序・引き継ぎ)
まず「辞任の理由」を一文で言えるまで削ぎ落とした。次に伝える順序を決める。①取締役会/主要株主 → ②幹部 → ③社員 → ④取引先。
さらに、役割ごとの引き継ぎシート、実務タイムライン、問い合わせ窓口を用意。準備は不安を減らし、言葉に芯を与えてくれた。
2. その場で話したこと(誠実さと事実ベース)
会議の最後に「時間をください」と切り出し、①辞任の意思 ②理由(健康・適材適所・次の体制)③移行計画 の順で簡潔に伝えた。
感情の説明は最小限に、事実と計画を具体的に。批判や質問には「会社にとって最善を考えたい」と軸を置いて答えた。
3. 伝えた後にやったこと(最初の48時間)
全社員向けアナウンス文を発信し、即日で引き継ぎキックオフ。主要取引先には個別連絡で不安を先回り。
夜は一人で今日の記録を残し、感情を吐き出す。静けさの中で、次の一歩はすでに始まっていた。
まとめ
- 辞任は敗走ではなく、組織と自分を守る選択
- 理由・順序・引き継ぎを整えると、言葉は届く
- 伝えた直後の48時間が信頼を支えるゴールデンタイム
次回予告
vol.6『ゼロからの再出発。最初の一歩は“整えること”だった』
肩書きを降ろした直後にやったのは、走り出すことではなく「整えること」。環境・習慣・心のリセット手順を書きます。
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