vol.55『アポが取れない週——“3行アウトバウンド”で会える確率が上がった』

シリーズ①:Re:START NOTE|”止まりながら進む日々”

長文は読まれない。短く、具体的に、次の一歩だけをお願いする。

「熱量はあるのに、返事が来ない。」

元社長の私は、丁寧さのつもりで長文メールを送り続け、1週間アポゼロを記録した。原因は“情報過多”と“お願い不在”。そこで本文3行に絞る「3行アウトバウンド」を導入。要件・価値・具体的な日時の提示だけにしたら、応答率が戻り、面談化が再開した。

営業は文章力より、相手の時間を尊重する設計力だと痛感した。

3行テンプレと送信カレンダー——短いほど動く

こんな人に読んでほしい

  • 新規アポのメール・DMが既読スルーで止まりがちな経営者/営業責任者
  • 長文で「想い」は伝えているのに、会える確率が上がらない人
  • 週次の面談数が安定せず、pipelineが薄くなる不安を抱えている人

この記事で伝えたいこと

  • アウトバウンドは「情報提供」ではなく「次の一歩の設計」だという視点
  • 3行テンプレ(初回/追伸/リマインド)と週次の送信リズム
  • チームで回すためのKPIとA/Bの見どころ

1. 「3行アウトバウンド」との出会いで変わったこと

きっかけは、アポゼロ週の振り返り。開封率は悪くないのに、返信がない。本文を要約したら「自己紹介・会社説明・資料URL・思い・実績・お願い不在」になっていた。

そこで本文は3行固定にした。
①要件(あなた宛に連絡した理由)
②価値(相手にだけ起きる良いこと)
③具体(2つの日時提示 or 15分の枠提案)

例(初回):
「◯◯業界向けの◯◯支援で“在庫圧縮×現金化”の事例が出ました。
貴社の◯◯施策と重なる部分があり、15分で要点だけ共有させてください。
火11:00/水16:00はいかがでしょう?別候補も歓迎です。」

結果、返信率は2.8%→7.2%面談化は0.6%→2.1%へ。文章を短くした分、件名と送信タイミングを磨く余白が生まれた。

2. 比べないことが教えてくれたもの

他社の「華やかな実績メール」と比べるほど、文章は長く装飾的になる。私たちが競うのは文章の美しさではなく、相手の時間を奪わないこと。そこで「比べる対象」を他社から相手の1分に切り替えた。

運用ルール:
・1通=150字以内、リンクは1つまで(資料は面談後に提供)
・CTAは1つ(日時提案 or 「要件合致なら返信だけ」)
追伸1行で人間味(共通点や相手投稿への言及)

例(追伸):
「P.S. 先日の◯◯に関するポスト、現場視点の◯◯に共感しました。」

比べるのをやめたら、相手の“いま”に寄る言葉が増え、返事が返りやすくなった。

3. それでも前に進む理由

続けて初めて効く。だから経営として仕組みとKPIを置いた。

・週の送信数:新規100件/既存フォロー30件(担当者ごと)
・A/B:件名(【15分だけご相談】vs【在庫×現金化の事例】)、送信時刻(8:10/12:05/18:15)
・数字:開封率/返信率/面談化率/1面談あたり送信数
・リマインドは72時間後に1通だけ(新ネタ1行+同じCTA)

例(リマインド):
「先日の件、在庫圧縮でキャッシュが30日早まった補足事例が出ました。
ご興味あれば木10:30/金14:00で15分いかがでしょう。」

数字は嘘をつかない。短く、具体的に、次の一歩だけ——この原則が、焦りの週を抜け出すロープになった。

まとめ

  • アウトバウンドは「情報」より「次の一歩(CTA)」を設計する
  • 本文3行+追伸1行、150字以内、CTAは1つに絞る
  • 週次の送信量・時刻・件名をA/Bで磨き続ける

次回予告

vol.56『名刺だけ増えた夜——懇親会の歩き方を変えたら案件が生まれた』

次回は、交流会で“数はあるのに成果が出ない”悩み。名刺交換をやめ、アポ前提の3質問と翌朝の90秒フォローに変えたら受注に繋がった話を、具体テンプレ付きでお届けします。

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