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断られた瞬間から、営業は始まる。
「今回は見送り、承知しました。——それでも3分だけ、失敗事例を共有させてください。」
元社長として“断る側”を経験して気づいたのは、
押し切る営業に心は動かないということ。けれど、時間を尊重し仮説を短く提示する一言には、扉を開く力がある。断られた直後のたった一行が、新しい縁につながった実体験と、すぐ使える言い回しをまとめる。

こんな人に読んでほしい
- 断りメールの後に、次の打ち手が思いつかない営業・経営者
- 押し売りはしたくないが、関係は切らしたくない人
- 短い文面で「また話したい」を引き出したい人
この記事で伝えたいこと
- “断る側だった元社長”の視点から見える、開かれる一言の条件
- 時間を守る宣言+検証テーマの提示という、信頼の作り方
- 明日から使えるテンプレと、粘らず続く関係の残し方
1. 断られた相手との出会いで変わったこと
展示会後、3往復のやり取りの末に届いた丁寧な見送りメール。社長時代の私は同じように断る側でもあったため、そこで押してくる営業には二度と会いたいと思わなかった。
だからこちらの返信は一行に絞った。
「ご判断、承知しました。3分だけ、同規模企業の“失敗事例”を1枚で共有させてください。
それで“やらない理由”が増えるなら、その場で終了します。」
“売り込み”ではなく“検証の提案”。時間上限と終了条件を先に明示したことで、相手の心理的安全性が上がり、「その3分なら」という返信を得た。ここから関係が始まった。
2. 比べないことが教えてくれたもの
競合の実績や機能で勝とうとすると、会話はすぐ消耗戦になる。元社長の私がもう一度“会ってもいい”と感じるのは、自社の現実に寄せた検証テーマを提案してくる相手だ。
だからこちらは「棚卸時間の週次変動」「問い合わせ一次応答の遅延」など、相手のKPIに直結する1テーマに絞り、3分・1枚・終了条件の三点セットを約束する。
比べないから、ずれが小さい。ずれが小さいから、次がある。
3. それでも前に進む理由
断りは“相性が悪い”のサインではなく、タイミングと情報量の不一致のことが多い。
私が運用している“断られた後の一言テンプレ”は以下の3パターン:
- 時間宣言型:「3分/1枚/ここで終了」の約束で再接点を作る
- 結果フォーカス型:「同規模で◯◯%改善の失敗と成功」の対比だけ共有
- 保留尊重型:「次回の予算編成◯月の2週間前に、1枚だけ」の予約を打診
大事なのは、“会いたい理由”を自分都合(売上)で書かないこと。
相手の意思決定コストを下げる提案に変換できたとき、縁は続く。
まとめ
- 断られた直後は「時間上限」「検証テーマ」「終了条件」を一言で
- 競合比較より、相手のKPIに寄せた一枚(比べない勇気)
- “また会いたい”は、相手の意思決定コストを下げた結果として生まれる
次回予告
vol.59『値引き交渉が始まる前に——“価格の前提”を整えた15分ミーティング』
次回は、元社長の立場で感じていた“価格の違和感”をどう解消したか。
「値引きの話になる前に終わらせる」ミーティング設計を共有します。
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