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初日の15分で、未来の炎上を消す。
「今日、絶対に失敗できないところはどこですか?」——キックオフの最初にこれだけ聞く。
元社長の私は、導入直後の“小さなつまずき”が一瞬で信用棄損に化ける現場を嫌というほど見てきた。だから初日の15分で、障害が起きたら致命傷になるポイントだけを赤字で抜き出す“レッドリスト”を作る。
完璧を追わない。「今、壊れたら一番痛い3つ」に絞る。これで炎上の芽はほぼ摘める。

こんな人に読んでほしい
- 導入初週の問い合わせ殺到や想定外対応で消耗している経営者・責任者
- 障害は出ない前提で進めてしまい、発生時に火消しが後手になるチーム
- “最小の手間”で“最大の安心”を作るオンボーディング設計を探している人
この記事で伝えたいこと
- 初日は「全部やる」ではなく「致命の3点だけ守る」という視点
- レッドリスト運用の型(抽出→監視→復旧→連絡の4枚セット)
- 明日から使えるキックオフ台本とSlackテンプレ
1. “レッドリスト運用”との出会いで変わったこと
以前の私は、導入初日にチェックリストを山ほど配った。結果、重要な信号がノイズに埋もれる。
そこで発想を反転。「止まったら致命傷になる3点」だけを赤で掲示し、オーナーと連絡経路を初日で固定した。
初日の15分(5分×3ブロック)
- 5分|抽出:「壊れたら一番痛いものを3つ」現場に口頭で出してもらう(例:決済、在庫連携、一次応答)
- 5分|監視:各ポイントの“生存確認”方法を即決(ダッシュボード数値/テスト注文/擬似問い合わせ)
- 5分|復旧&連絡:切替手順(手動フロー)と連絡テンプレをSlackに固定
以後、障害は起きても炎上にならない。理由は単純で、誰が・何を・いつまでが初日から赤字で見えているからだ。
2. 比べないことが教えてくれたもの
他社の“完全マニュアル”と比べるほど、現場は守りたい肝を見失う。元社長として腹落ちしたのは、「全部の最適化」より「致命の最小化」が先ということ。
だからレッドリストは3つに限定し、黄色(注意)や緑(通常)は後日。まずは会社の信用を守る3点だけに人と時間を集中させる。
3. それでも前に進む理由(台本&テンプレ)
キックオフ台本(冒頭30秒)
「今日の目的は炎上予防です。
“止まったら致命傷”の3つを赤で決め、監視と復旧ルートを今ここで固定します。
うまくいく話はしません。失敗の芽だけ摘みます。」
Slack固定メッセージ(コピペ可)
【レッドリスト|導入初日-案件名】
1) 決済API:毎時 成功率 > 98%(監視URL)/ 異常時=手動決済へ切替(手順リンク)
オーナー:田中 / 連絡:#ops-urgent @tanaka
2) 在庫連携:同期遅延 < 5分(監視:在庫差異%)/ 異常時=CSV手動更新
オーナー:鈴木 / 連絡:#supply-urgent @suzuki
3) 一次応答:営業時間内 応答 < 15分(監視:受付タイム)/ 異常時=代行窓口へ転送
オーナー:佐藤 / 連絡:#cs-urgent @sato
【連絡テンプレ】
発生箇所 / 影響範囲 / 暫定対応 / 恒久対応案 / 次アクション(担当・期限)
現場の合言葉(締め60秒)
「赤が守れればOK。他は後で磨く。
“赤→黄色→緑”の順に、1週間で段階解除します。」
まとめ
- 導入初日の目的は“成功自慢”ではなく“炎上予防”
- レッドリストは3点に限定し、監視・復旧・連絡を初日で固定
- 完全主義を捨て、致命の最小化からスピードを作る
次回予告
vol.68『謝る前に“見せる”——ダッシュボード公開でクレームが半減した』
次回は、障害後の“言い訳合戦”をやめ、数値のリアルタイム公開で信頼を戻した話。公開の範囲・頻度・ルール、そして最初の一言まで具体的に書きます。
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