vol.73『締切は時間じゃない——“Readyの定義”で遅延が消えた』

シリーズ①:Re:START NOTE|”止まりながら進む日々”

⏱ 読了目安:約3分

「いつまで?」をやめて、「何が揃えば?」に変える。

締切日を3回ずらした週に、私は“日付”ではなく“材料不足”で遅れていると認めた。

元社長の反省はこうだ。期日を詰めても、着手条件が曖昧なら仕事は進まない。だから私は会議で「いつまで?」を封印し、「何が揃えば着手できる?」だけを聞いた。

その日から、プロジェクトは止まらなくなった。鍵は“Readyの定義(Definition of Ready)”——開始条件を文書で固定することだ。

“開始条件”を先に決めると、遅延の7割は消える

こんな人に読んでほしい

  • 期日は守っているのに、アウトプットの質と速度が安定しない経営者・責任者
  • 依頼のたびに「もう少し情報を…」と往復が発生して疲弊するチーム
  • “手戻り”と“待ち”を減らし、前倒しで進めたいプロジェクトマネージャー

この記事で伝えたいこと

  • 締切は“日付”ではなく“開始条件”という視点
  • Readyの定義テンプレ(7条件)と実装手順(15分)
  • 明日から使える依頼フォーム&引き継ぎメッセージ

1. Readyとの出会いで変わったこと

以前の私は「◯日までにお願い」で依頼していた。結果、着手が遅れ、初稿の質もブレる
そこで、全案件でReadyの定義を先に貼り出した。準備が揃う前は「未Ready=受け付けない」。厳しさではなく、現場の安全装置だ。

Readyの定義(テンプレ|7条件)

  • ① 目的と成功指標(KPI/数字)
  • ② 対象と範囲(入/外を列挙)
  • ③ 最終アウトプットの型(例:スライド10枚/LP1本/SQL)
  • ④ 必要素材の在処(データ/画像/権限/過去資産)
  • ⑤ 決裁者とレビュー体制(誰が/何分で見るか)
  • ⑥ 依存タスクの完了宣言(例:計測タグ発火OK)
  • ⑦ 連絡経路とSLA(質問→何分以内に誰が返すか)

これを徹底してから、待ち時間が-46%、手戻りが-39%(社内運用実績)。何より、着手が“スッ”と始まるようになった。

2. 比べないことが教えてくれたもの

他社のWBSや巨大テンプレを真似しても続かない。元社長の私が腹落ちしたのは、Readyは“最低限でいい”ということ。
現場が覚えられる7条件に固定し、未Readyなら断る。これがチームの生産性を守る最小ルールだった。

  • 短く・見える場所に:案件チャンネルのピン留め or 壁1枚
  • 数値で線を引く:「素材90%未満=未Ready」など閾値化
  • レビューは時間予約:「毎日11:45に5分」など“枠”で運用

3. それでも前に進む理由

私は「急ぎだから始めて!」と頼んで、早く遅れるという最悪の結果を何度も作った。
Readyを決めると、開始=合意になる。以後のやり取りは「条件を満たす/外す」の議論になり、情緒ではなく事実で進む。

依頼フォーム(コピペ可|Notion/フォーム想定)

目的/KPI:____(例:CVR+15%)
範囲(入/外):入=__/外=__
アウトプット:__(例:スライド10枚)
素材URL:__(画像/データ/権限)
決裁者/レビュー:__(◯日◯時/5分)
依存タスク:__(完了/未完)
連絡/SLA:#proj-◯◯(営業時間中30分以内)

引き継ぎメッセージ(Slack)

【Ready宣言】案件名:
①目的/KPI:__ ②範囲:__ ③出力:__
④素材:__ ⑤決裁/レビュー:__ ⑥依存:完了
⑦連絡/SLA:#proj-◯◯(30分)
→ Ready OK。明日9:30着手、初稿は11:45レビュー枠で確認。

まとめ

  • 締切=日付ではなく、開始条件(Ready)を先に決める
  • 7条件(目的/範囲/出力/素材/決裁/依存/連絡)を壁1枚に固定
  • 未Readyは断る勇気が、最速の近道になる

次回予告

vol.74『レビューは“5分×毎日”——粗いまま出す勇気が品質を上げた』

次回は、週1の完璧レビューをやめた話。毎日5分の連続レビューに切り替えて、手戻りと摩擦が激減した運用と台本を公開します。

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