vol.200『初任給18万円の重み——数千万を動かした男が、ATMの前で震えた理由』

シリーズ①:Re:START NOTE|”止まりながら進む日々”

⏱ 読了目安:約3分

18万円。かつての俺なら、一晩の会食で使い果たしていた金額だ。

ATMの画面に表示された「180,000」という数字。俺の指は、それを確認するのをためらうほどに震えていた。

数千万、数億のキャッシュを動かし、会社の通帳に並ぶゼロの数で自分の価値を測っていた元社長時代。あの頃の俺にとって、金はただの「記号」だった。しかし、年下の上司に頭を下げ、泥臭い営業を一から叩き込まれて手にしたこの18万円は、俺の人生で最も重く、体温を感じる現金だった。

数字が消えて初めて見えた、働くことの「本質」と、失いかけていた自負についての記録。

かつての大金では決して買えなかった、自分を信じるための「18万円」。

こんな人に読んでほしい

  • キャリアの再構築中で、現在の収入に引け目を感じている人
  • 「何のために働いているのか」という根本的な問いに迷っている人
  • 今の自分を認めることができず、過去の栄光に縛られている人

この記事で伝えたいこと

  • 報酬の価値は、金額の「多寡」ではなく、そこに込めた「納得感」で決まる
  • プライドを捨てて得た一円こそが、次の自分を創る基礎石になる
  • ゼロからのスタートは、人生の「リセット」ではなく「アップデート」である

1. 18万円との出会いで変わったこと

再就職して一ヶ月。年下上司に詰められ、慣れないツールに悪戦苦闘し、かつての部下なら一瞬で終わらせるような仕事に一日を費やした。そんな日々を経て振り込まれた初任給は、税金や保険を引かれて手元に残った、わずか18万円。

社長時代、この金額は経費の端数に過ぎなかった。しかし、いざATMから引き出した万札の手触りは、驚くほど生々しかった。これは俺が「社長」という椅子ではなく、一人の「人間」として、現場で汗をかき、頭を下げて奪い取ってきた対価だ。記号としての金が、初めて自分の肉体の一部になったような感覚だった。

2. 比べないことが教えてくれたもの

ATMの前で俺が震えたのは、情けなさからではない。かつての自分と比べるのを、完全にやめることができたからだ。「昔ならこれくらい…」という思考は、今目の前にある18万円の価値を汚す不純物でしかない。

他人の年収や過去の栄光というフィルターを通さず、この額で何ができるか、どうやって家族を支え、次の一歩を踏み出すか。そこに集中した時、俺の心からは「焦り」が消え、静かな「自負」が生まれた。この18万円は、俺が社会から「もう一度やっていいぞ」と認められた受領証だったんだ。

3. それでも前に進む理由

18万円で何が変わるのか。生活は切り詰めなきゃいけないし、贅沢なんて当分お預けだ。でも、俺の足元はかつてないほど安定している。数千万を動かしていた頃の俺は、常に「自分以上の何か」を見せようと虚勢を張っていた。

今は違う。この18万円が、俺の今の等身大の実力だ。ここから一円ずつ、自分の価値を積み上げていく。そのプロセスこそが、俺が元社長というメッキを剥がし、本当の意味で自分らしい人生を再構築するためのエネルギー源になっている。

まとめ

  • 金額の多寡より「どう稼いだか」が、その後の自信を支える
  • 過去の自分を殺した先にしか、今の自分を愛せる日は来ない
  • 最初の一歩がどれほど小さくても、それは確実な「前進」である

次回予告

vol.201『元社長、営業代行でトップを取る——「おじさん新人」が若手を抜き去った禁断の技術』

プライドを捨て、18万円の重みを知った男が、ついに覚醒する。若手に馬鹿にされながらも、元経営者の視点を「現場」に全投入した時、かつてない成約率が叩き出された。その時、現場で何が起きていたのか──。

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