⏱ 読了目安:約3分
「はい、承知いたしました」——その一言が、喉にトゲのように刺さった。
20歳も年下の若者に、俺は深々と頭を下げていた。
再就職した先で俺を待っていたのは、かつての部下よりも若い、20代半ばのリーダーだった。昨日まで「社長」と呼ばれ、指示を飛ばしていた俺が、今日はタブレットの使い方ひとつで彼に教えを請うている。込み上げる屈辱。顔が熱くなる。けれど、そのトゲを飲み込んだ先にしか、俺の「明日」はないことも分かっていた。
プライドが音を立てて崩れ去った瞬間、俺の目に見えたのは、意外にも「新しい世界への入り口」だった。

こんな人に読んでほしい
- 年下の成功者や上司に対して、複雑な感情を抱いている人
- 過去のキャリアと現在のギャップに苦しみ、身動きが取れない人
- 「教えを請うこと」を恥だと感じ、成長を止めてしまっている人
この記事で伝えたいこと
- 「無知」を認めることが、最強の学習スピードを生むという視点
- 年齢や立場を超えた「スキルへの敬意」が、心の壁を取り払う
- 屈辱は、自分の器を大きくするための「成長痛」でしかない
1. 24歳のリーダーと、震える自分のプライド
配属されたチームのリーダー、K君は24歳。俺の息子と言ってもおかしくない年齢だ。彼は合理的で、スピード感が異常に速い。かつて俺が数日かけて決断していたようなことを、チャット一つで瞬時にさばいていく。
「〇〇さん、そのやり方は効率が悪いです。次からはこれでお願いします」
その指摘は、100%正論だった。正論だからこそ、余計に腹が立つ。かつての俺なら「現場を知らん若造が」と一蹴していただろう。だが、今の俺は現場の一兵卒。歯を食いしばって「ありがとうございます。勉強になります」と口にした時、俺の中の『社長だった俺』が、静かに息を引き取ったのを感じた。
2. 比べないことが教えてくれた「若さという正解」
俺が持っていたのは「経験」という名の重い鎖だったのかもしれない。K君には、その鎖がない。だからこそ、新しい技術も手法も、恐れずにどんどん取り入れていく。
彼と自分を「どっちが上か」で比べるのをやめた瞬間、彼の動きが教科書に見え始めた。40代の俺が20代の彼に勝とうとする必要はない。彼から盗み、自分の経験と掛け合わせれば、それは誰にも真似できない武器になる。
「頭を下げる」ことは、負けることじゃない。相手の持っている宝物を分けてもらうための、最も賢い交渉術なのだと気づいたんだ。
3. それでも前に進む理由
正直、毎日が恥の連続だ。初歩的なミスをして注意されることもある。だが、不思議と心は以前よりも澄んでいる。
かつて社長室で孤独に数字と向き合っていた時よりも、今、K君に詰められながら新しいツールを覚えている時の方が、自分が「生きている」実感がある。
屈辱を燃料にして、一歩ずつ新しい自分を組み立てていく。この泥臭い過程こそが、俺が本当に求めていた「再起」の正体だったのかもしれない。
まとめ
- プライドを捨てた先にしか、本物の学びは存在しない
- 「年下上司」は、自分の固定観念を破壊してくれる最高の師である
- 「教えを請う」勇気が、止まっていた人生の時計を動かし出す
次回予告
vol.200『初任給18万円の重み——数千万を動かした男が、ATMの前で震えた理由』
ついに迎えた、再就職後初めての給料日。画面に表示された数字は、かつての月給の数分の一。けれど、その18万円を手にした時、俺はかつての大金では決して味わえなかった、震えるほどの「自負」を感じていた──。
おまけ・SNS連携
更新情報はX(旧Twitter)でも発信中!
@Okin_san_
元社長のリアル再出発ストーリーをお届けします
