vol.208『初陣のチームミーティング——元社長の慢心を捨て、”支援者”に徹した結果』

シリーズ①:Re:START NOTE|”止まりながら進む日々”

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かつての俺なら、開始5分で「正解」を押し付けていただろう。

「今日は、俺の意見は一切言わない。みんなが仕事で一番『邪魔』だと思っていることを教えてくれ。」

リーダーとしての初日。円卓を囲む若手たちの表情は、期待よりも「元社長の凄腕が来た」という警戒心で強張っていた。かつての俺なら、その空気を自分の成功体験で塗りつぶし、最短距離の指示を出して満足していたはずだ。しかし、今の俺は知っている。独裁者が作る組織の脆さを。

「教える側」から「支える側」へ。ポジションを180度変えたとき、会議室の空気が初めて熱を帯びて動き出した。

「指示」を捨てて「傾聴」を選んだ。それが、本当のチームを作るための第一歩だった。

こんな人に読んでほしい

  • 後輩や部下とのコミュニケーションに壁を感じている人
  • 「自分がやったほうが早い」が口癖になっているリーダー層
  • 過去の成功体験が、今の環境で足枷になっている人

この記事で伝えたいこと

  • 「答え」を与えるよりも「障害」を取り除くリーダーシップ
  • 弱さを開示することで生まれるチームの心理的安全性
  • 現場の主役は、リーダーではなく「実行するメンバー」であるという事実

1. 沈黙の会議室を変えた「問いかけ」

ミーティング冒頭、あえて「俺の成功法則」を封印した。若手メンバーたちから出てきたのは、「顧客へのアプローチ方法」ではなく、「社内報告の煩雑さ」や「ツールが使いにくい」といった、泥臭い現場の不満だった。

かつての俺なら「そんなの工夫で乗り越えろ」と一蹴していただろう。だが、今回は違う。彼らの足元にある小さな石ころを、俺が一つずつ拾い上げることに徹した。「それは俺が今日中に改善を交渉してくる。他には?」その一言で、彼らの目が「やらされている側」から「当事者」の輝きに変わった瞬間を、俺は生涯忘れないだろう。

2. 比べないことが教えてくれた「支援者の誇り」

「誰が一番成果を出しているか」で競わせるのをやめた。代わりに、「誰がチームの課題を一番見つけてくれたか」を評価基準に置いた。

かつての俺は、自分という太陽の周りを回る惑星のような組織を作ろうとしていた。でも今は、土壌を整える庭師のような存在でありたいと思う。若手が伸び伸びと意見を言い、失敗を恐れずに挑戦できる環境。その基盤を作ることは、数億円の売上を一人で叩き出すことよりも、ずっと複雑で、ずっと誇らしい仕事だと気づいた。

3. それでも前に進む理由

会議の終わり際、一番若手のメンバーが「なんか、これなら勝てる気がします」と小さく笑った。その笑顔を守ることが、今の俺の新しい戦い方だ。

俺に「社長」という肩書きはもうない。けれど、この小さなチームの中で、一人の支援者として必要とされている実感がある。かつての虚飾に満ちた自信ではなく、現場で汗をかき、仲間と共に一歩ずつ進むこの手応えこそが、俺がどん底で見つけた「真のビジネス」の正体なんだ。

まとめ

  • リーダーの仕事は「答え」を言うことではなく「耳」を貸すこと
  • 現場の障害を取り除くことが、最短の成果への道
  • メンバーの成功を「自分の成功」以上に喜べる心が、チームを動かす

次回予告

vol.209『試される”支援者”の覚悟——メンバーの大失態、その時「元社長」はどう動いたか』

チームが一つになりかけた矢先、あるメンバーが重大な発注ミスを犯す。クライアントからの激しい叱責。かつての俺なら烈火の如く怒っていたが、今の俺には選ぶべき「別の道」があった。支援者として、俺が背負うべき本当の責任とは──。

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