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「俺についてこい」という背中が、実は一番孤独だった。
「社長は泣いてはいけない、迷ってはいけない」——そう自分に言い聞かせ、鉄の仮面を被り続けてきた。
営業の世界でトップを走り、社長として組織を率いていた頃、俺は「弱さ」を毒だと思っていた。部下の前で不安を見せれば士気が下がり、弱音を吐けばライバルに隙を与える。だが、そうやって鎧を厚くすればするほど、社員との心の距離は開き、組織の空気は冷え切っていったんだ。
鎧を脱ぎ捨て、「助けてくれ」と口にした瞬間に始まった、本当のリーダーシップの話をしよう。

こんな人に読んでほしい
- 「自分がしっかりしなきゃ」と、一人で責任を背負い込みすぎている人
- 部下やチームとの壁を感じ、本音で話せていないリーダー
- 完璧主義のせいで、失敗や挫折を過度に恐れてしまう人
この記事で伝えたいこと
- 「弱さ(脆弱性)」を見せることは、最大の勇気であり信頼の証である
- 完璧さを捨てた時、初めて人はあなたの言葉を「自分事」として受け取る
- 再出発に必要なのは「強がる力」ではなく「ありのままを見せる力」
1. 鎧を脱いだ瞬間、チームが呼吸を始めた
社長時代、業績が悪化した時に俺が取った行動は「さらに強がること」だった。会議では数字を詰め、不安を打ち消すように威圧的な態度をとった。結果、現場の人間は委縮し、誰も本音の報告を上げてこなくなったんだ。まさに自滅への片道切符だった。
すべてを失う直前、もう限界がきて、会議室で「正直、俺もどうすればいいか分からないし、毎日怖いんだ」と溢したことがある。その瞬間、空気が変わった。責められると思ったのに、部下たちが次々と「実は自分もこう思っていました」「一緒に考えましょう」と話し始めた。俺の「弱さ」が、彼らの「主体性」を引き出すスイッチになったんだ。
2. 「優秀さ」の定義が変わった日
これまでの俺にとって、リーダーの優秀さとは「常に正解を持っていること」だった。だが、今の俺は違う。本当の優秀さとは「周りが助けたくなる隙を持っていること」だと思うようになった。人は完璧なサイボーグにはついていかない。迷い、傷つき、それでも立ち上がろうとする「人間」にこそ、心は動くんだ。
他人と自分を比べて「あいつはあんなに強いのに」と落ち込む必要はない。あなたの脆さや不安をさらけ出すことは、相手に対して「あなたを信頼しているから、素の自分を見せている」という強烈なメッセージになる。
3. それでも前に進む理由
今でも、新しい環境で弱さを見せるのは怖い。また馬鹿にされるんじゃないか、という内側の焦りは消えない。けれど、あの鉄の仮面を被っていた頃の虚無感には、もう二度と戻りたくないんだ。
等身大の自分でぶつかって、それで離れていく人間ならそれまでだ。残ってくれた人と、心からの信頼関係を築いていく。その心地よさを知ってしまったから、俺は今日も鎧を脱いで、足元の一歩を踏み出す。
- 弱さを見せることは「負け」ではなく、最高の「自己開示」である
- 「助けて」と言えるリーダーの周りには、自立したプロが集まる
- 完璧を捨てた空白に、本物のチームワークが宿る
次回予告
vol.194『“沈黙”が1,000の営業テクニックを超える理由——心を開かせる究極の「聴き方」』
次回は、饒舌に語り続けてきた元社長が辿り着いた、対人関係の真理について。なぜ、上手く話そうとすればするほど、相手の心は離れていくのか。あえて「話さない」ことで得られる圧倒的な信頼と、心の深層に触れるコミュニケーションの極意について書きます。
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元社長のリアル再出発ストーリーをお届けします

