vol.196『“逃げる”ことが最善の戦略になる時——撤退という名の勇気ある決断』

シリーズ①:Re:START NOTE|”止まりながら進む日々”

⏱ 読了目安:約3分

「白旗を揚げるのは、負けじゃない。次の一戦に生き残るためのチケットだ。」

「最後まで諦めるな」という言葉が、時として人を、組織を殺すことがある。

営業の世界でも経営の世界でも、ボロボロになっても戦い続けることが「美徳」とされる。元社長だった俺も、その呪縛に囚われていた一人だった。資金が底をつきかけ、社員の目が死んでいくのを見ながら、それでも「撤退」という二文字を口にするのが怖かったんだ。逃げるのは卑怯だ、情けない——そう自分を責め続けていた。

だが、地獄の縁で俺が下した決断は、未来を守るための「戦略的撤退」だった。

「止める」勇気が、次の「始める」を可能にする。

こんな人に読んでほしい

  • 「辞めたい」と思っているのに、責任感やプライドで動けなくなっている人
  • 明らかに赤字のプロジェクトや、消耗するだけの関係を切り出せない人
  • 挫折した自分を「負け組」だと感じて、立ち止まっている人

この記事で伝えたいこと

  • 「損切り」とは、過去の失敗を認めることではなく、未来の時間を買う行為である
  • 執着と粘り強さを履き違えないための、自分自身の判断基準
  • 撤退を決めた瞬間に、初めて新しい一歩が「物理的」に踏み出せる

1. 地獄の底で気づいた「執着」の正体

  会社が傾き、万策尽きようとしていたあの頃。俺が一番恐れていたのは、実績がゼロになることではなく、「失敗した社長」というレッテルを貼られることだった。つまり、俺が戦い続けていたのは会社のためでも社員のためでもなく、ただ自分のプライドを守るための「執着」に過ぎなかったんだ。

現場で戦う仲間たちが、泥沼化する戦況に疲弊していく。その現実から目を逸らして「まだいける」と強がるのは、リーダーとして最悪の選択だった。あえて白旗を揚げ、すべてを清算する決断をした時、肩の荷が下りると同時に、ようやく「本当の再出発」の地図が見え始めた。

2. 他人の「継続」と比べない強さ

  「あいつは10年続けた」「俺は3年で逃げた」。そうやって他人の物差しで自分の撤退を測るのはもうやめよう。ボロボロになるまで戦って再起不能になるよりも、余力を残して「逃げる」ことができる人間の方が、長期的には必ず勝てる。営業成績も同じだ。見込みのない見込み客を追いかけ続けるのは「努力」ではなく「時間の浪費」だ。

撤退とは、自分のエネルギーを再配置するための高度な技術だ。比べるべきは他人の継続期間ではなく、自分の人生において「今、この場所に居続けることが、自分の魂を腐らせていないか」という一点だけでいい。

3. それでも前に進む理由

  一度「逃げた」経験は、俺に圧倒的な「軽やかさ」をくれた。失うものがなくなった時、人は初めて本当の意味で自由になれる。あの時、地獄の縁で白旗を揚げた俺を、過去の俺は「負け犬」と呼ぶかもしれない。けれど、今の俺は、あの決断をした俺を「英雄」だと思っている。

戦略的に退くことは、未来を信じているからこそできる行為だ。次はもっとうまくやれる。その確信を胸に、俺はまた、新しいフィールドで最初の一歩を踏み出す。

まとめ

  • 「損切り」は未来の資産を守るための攻撃的な決断である
  • 執着を捨てて「逃げる」勇気が、次の成功の確率を上げる
  • 他人の目ではなく、自分の「余力」を基準に引き際を見極める

次回予告

vol.197『“更地”から始める強さ——すべてを失った後に残る「本質」の見つけ方』

撤退し、何もなくなった更地に立った時、俺を支えたのは何だったのか。過去の栄光も、肩書きも、金もない。そんな「ゼロの状態」だからこそ見えてきた、一生モノの武器と、心の底から湧き上がる情熱の正体について語ります。

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