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会議の相手は“目の前の人”ではない。奥にいる、まだ会っていない人だ。
提案は通ったのに、決裁が落ちる。本当の相手はいつも会議室の外にいる。
元社長の頃、僕は何度もそれで負けた。現場の担当者は賛成、でも“奥の上司”で否決。
だから方針を変えた。会議当日より前に、奥の上司がそのまま押せる“一枚”を用意する。その一枚は、説得ではなく代弁。上司が使う言葉で、上司の懸念を先に片づける台本だ。

こんな人に読んでほしい
- 担当者には刺さるのに、最終決裁で跳ね返されることが多い人
- 「上の者に確認します」で時間だけが過ぎる営業・企画担当
- 小規模事業で、社内稟議の壁を最短で越えたい経営者
この記事で伝えたいこと
- 見えない決裁者に届く「言い換え」と「証跡」の置き方
- “要点1枚+根拠1枚+承認欄”で回覧を早める設計
- 明日から使える「奥の上司一枚」テンプレと運用のコツ
1. “奥の上司一枚”で変わったこと
以前の僕は、担当者に厚い資料を託していた。だが奥の上司の机で止まる。
変えたのは、奥の上司の言語へ先に訳すこと。使ったのはA4片面——見出しは結論、左に条件、右に価値、下に次の一手。
担当者には「この一枚のこの一文だけ読んでください」と伝える。結果、回覧の速度が上がり、ハンコがその日のうちに押されることが増えた。
ポイントは、上司が“説明を代行できる”紙にすることだ。
2. 比べない作法——“上司の言語”で3ブロックだけ
分厚いホワイトペーパーは要らない。必要なのは、上司がそのまま口にできる短い文。
型はこれで足りる:
[見出し=結論(1行)]
本日Aプラン開始:初月コスト△%削減/納期○/○/既存運用は維持
[左:条件(各1行×5)]
価格|範囲|契約期間|支払|責任分界(障害時の一次対応は当社)
[右:価値(各1行×3)]
数値効果|リスク低減|実績(同規模×○社/直近トラブル率)
[下:次の一手(チェック式)]
□Aで進行 □B(縮小) 有効期限:○/○ 連絡先:担当直通
(承認欄:決裁者名/日付/押印 または署名)ルール:
・各項目は1行、数字は最大3つ。
・専門用語は上司の業務用語に置換(“MTTR”→“復旧平均時間”など)。
・根拠は裏面1枚に集約(効果試算・リスク対応・スケジュールを各3行)。
・メール添付時の件名は「【要点1枚】Aプラン 本日○/×だけ」に固定。
3. それでも前に進む理由
奥の上司は忙しい。読む量を減らし、押す行為を増やす。
そのために「チェック欄」「有効期限」「連絡先直通」を一枚に同居させる。
担当者は説得ではなく、回覧の運転手になればいい。
一枚で進むなら、それがいちばん速い道だ。
まとめ
- 会議の本当の相手は“奥の上司”。言語を合わせた「要点一枚」を先に用意する
- 結論・条件・価値・次の一手の4ブロック/数字は3つまで
- 承認欄と有効期限で“押しやすさ”を設計——根拠は裏面1枚に逃がす
次回予告
vol.105『“決めるメール”——5行でハンコを動かす』
次回は、会議後の一通で決裁を前に進める“5行メール”の型。要点・期限・チェック欄の添付で、翌日決着をつくる方法を書きます。
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