vol.130『“未完了メモ”——やり残し案件を武器に変えるノート術』

シリーズ①:Re:START NOTE|”止まりながら進む日々”

⏱ 読了目安:約3分

“未完了メモ”は、仕事とメンタルを同時に守るための避難所だ。

「あの件どうなりましたっけ?」——この一言ほど、元社長時代の僕を冷や汗まみれにした言葉はない。

頭では分かっている。タスク管理ツールも、プロジェクト表も使っている。それでも現場は日々動き続け、電話とメールとチャットで予定は簡単に崩される。気づけば“やり残し案件”だけが静かに積み上がっていく。

内側の焦りを増やすメモではなく、足元の一歩を支えるメモにできないか——そんな試行錯誤の中でたどり着いたのが、「未完了メモ」を武器にするノート術だった。

やり残し案件をノートに整理し、静かに見返しているシーンを象徴した見出し画像

こんな人に読んでほしい

  • 「あの件どうなりましたっけ?」と聞かれるたびに胃がキュッとなる人
  • タスク管理ツールは入れているのに、やり残し案件が頭から離れない人
  • 未完了の山に押しつぶされそうになりながらも、目の前の仕事を回し続けている社長・営業の人

この記事で伝えたいこと

  • 「未完了=ダメ」ではなく、「未完了=資産候補」として扱う視点の大切さ
  • 社内外のやり残し案件を、シンプルなノート術で整理する方法
  • メンタルをすり減らさずに、半年後・一年後の武器に変えていく一歩

1. 冷や汗の一言から生まれた“未完了メモ”

社長をしていた頃、正直に言うと、すべての案件がきれいに管理できていたわけではない。
クライアントとの打ち合わせ、社内会議、採用面談、新規事業の検討——カレンダーは予定で真っ黒。でも、どれもその場で終わるわけじゃなく、「宿題付き」で終わることが多い。

そして数週間後。
別件の打ち合わせ中に、相手から何気なく飛んでくる。

「そういえば、前に話していたあの件って、どうなりましたっけ?」
背中に冷たい汗が流れながら、頭の中で必死に検索する——あの瞬間のヒヤッと感は、今でも覚えている。

そこで始めたのが、超シンプルな「未完了メモ」だった。
ルールはたったの3つ。

  • ノートの1ページ目を「未完了リスト」専用にする
  • 1行に1案件、「誰と・いつ・何を約束したか」だけ書く
  • 動きがあったら、日付と一言だけ追記する(消さない)

これだけでも、
「あの件どうなりましたっけ?」と聞かれたときに、
ノートを1ページ目からめくるだけで、記憶が一気に戻ってくる。
完璧な管理表ではない。でも、現場の自分を守る“最低限の盾”にはなってくれた。

2. 自分を責めないための“ラベル分け”ノート術

やり残し案件が増えると、いちばん最初にやられてしまうのは「自分への評価」だ。
「また忘れていた」「自分は管理が下手だ」——頭の中で自分を責め始めると、ノートを開くことすら嫌になっていく。

そこで途中から変えたのが、案件ごとに“小さなラベル”をつけることだった。
未完了メモの行の先頭に、こんな記号をつける。

  • 【待】……「相手の返答待ち」の案件
  • 【保】……「状況が動くまで様子見」の案件
  • 【自】……「自分の作業待ち(資料作成・社内確認など)」の案件

これをやるだけで、未完了がすべて「自分のサボり」に見える状態から、

  • 今は相手の番だから、焦っても仕方ないもの
  • タイミングを見て動けばいい“保留資産”
  • 今日中に1つだけでも着手したい“自分の宿題”

と、性質の違う3つの案件に分かれてくる。

未完了メモを開いたとき、
「今日は【自】の中から1件だけ、前に進める」
と決めるだけでも、内側の焦りは少し落ち着いていく。
すべてを片づけようとするから折れる。
一歩だけ進めるためにメモを使う、と決めると、ノートが味方側に戻ってきてくれる。

3. 半年後・一年後に効いてくる“やり残し案件”の育て方

未完了メモを続けていると、面白いことが起きる。
「もう終わったと思っていた話」が、数カ月後に別のルートから戻ってくるのだ。

たとえば、

  • 当時は導入に至らなかったが、担当者が転職先で声をかけてくれた案件
  • 予算が合わず見送られたが、翌期の予算編成時に「あの提案、もう一度」と連絡が来た案件
  • 社内でボツになった企画案が、別部門の新規事業のタネとして復活したケース

どれもこれも、「やり残し案件」としてノートに残っていたからこそ、
チャンスが来たときに、すぐに立ち上げ直せたものばかりだ。

僕は未完了メモのページがある程度たまってきたら、
ページの端に小さくこう書いていた。

「今日の未完了は、半年後のネタ候補」
「消えた案件は、どこかで形を変えて戻ってくるかもしれない」

そう思えるだけで、未完了に貼っていた「失敗」のラベルが、少しずつ「資産候補」に変わっていく。
内側の焦りを完全に消すことはできない。でも、
未完了を武器に変えるノートを一冊持っておくことはできる。

今日もまた、「あの件どうなりましたっけ?」と聞かれるかもしれない。
その時に、自分を責める前にノートを1ページ目からめくれるように——
そんな未来の自分のために、「未完了メモ」を一行だけでも増やしておきたい。

まとめ

  • “未完了メモ”は、自分を責めるためではなく「現状を見える化する避難所」として使う
  • 【待】【保】【自】などのラベル分けで、未完了の性質を分けるとメンタルが守られやすい
  • やり残し案件は、半年後・一年後に形を変えて戻ってくる“資産候補”としてノートに残しておく

次回予告

vol.131『“予定表の余白”——埋めない勇気がスケジュールを救う』

次回は、びっしり埋まった予定表よりも、「あえて余白を残す」スケジュールの方が仕事の質を上げてくれる話を書きます。元社長時代、予定を詰め込みすぎて倒れかけた反省から学んだ、“埋めない勇気”と時間設計のコツをまとめていきます。

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