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同じスタートラインにも見えるけれど、走っているレーンも距離も、本当はそれぞれ違う。
SNSを開いた瞬間、誰かの「活躍報告」に心がざわつく——元社長時代から、何度もくり返してきた感情だ。
同年代の出世、起業の成功、フォロワーの伸び、売上報告。タイムラインを眺めているうちに、「自分だけ取り残されている気がする」感覚が、じわじわと胸の内側を締めつけてくる。
社長の頃は「負けてたまるか」と競争モードで押し切れた。でも、再スタートの今は、同じやり方では心がもたない。だからこそ、「他人のスピード」に飲まれないように、自分なりのペース設計が必要になった。

こんな人に読んでほしい
- 同年代や同業の活躍を見て、焦りや置いていかれた感覚を強く感じてしまう人
- SNSを見るたびに、自分のペースが正しいのか不安になってしまう人
- 再スタートを切ったものの、「このスピードで本当に大丈夫か」と迷っている人
この記事で伝えたいこと
- 「他人のスピード」に飲まれないための、ペース設計という視点の大切さ
- 競争モードから距離を取りつつ、現場で一歩ずつ進むための具体的な工夫
- 比較疲れを減らし、長く走り続けるための自分との付き合い方
1. 競争モードに飲み込まれていた頃のこと
社長をしていた頃の僕は、常に誰かと比べていた。
同じエリアのライバル企業、同期の経営者、売上ランキング、社員数、オフィスの規模——目に入るものすべてが「比較材料」だった。
そのおかげで踏ん張れた場面もたくさんある。
「あいつに負けたくない」という気持ちが、深夜までの資料作りや、何百件ものテレアポを支えてくれたのも事実だ。
でも、会社を手放し、再スタートを切ったあとの比較は、質が違った。
SNSを開けば、同年代が二社目を立ち上げていたり、フォロワーを何万人と抱えていたり、家族との写真を幸せそうに載せていたりする。
それを見た瞬間、心の中でこんな声が出てくる。
「自分は何をしてきたんだろう」
「また出遅れている」
「このスピードのままじゃ、一生追いつけない」
正直に言うと、一時期はその感覚に完全に飲み込まれていた。
ただでさえ再スタートは不安定なのに、他人のスピードまで背負おうとしていたからだ。
そこから少しずつ学んだのは、「同じ土俵で比べようとする前提を手放す」こと。
まずは、自分のレーンとペースを決めるところからやり直す必要があった。
2. 比べないことで見えてきた“自分のペース”
「比べるのをやめよう」と思っても、人間なので完全にはやめられない。
僕が現実的にできたのは、“比べ方”と“見る時間”を変えることだった。
① レースの種類が違うと認める
まず決めたのは、「競技が違う人とは比べない」というルールだった。
資本力も、スタート地点も、抱えている責任も違う相手と、同じスピードで走ろうとすること自体が無理筋だと気づいたからだ。
たとえば、フルマラソンを走っている人と、リハビリ中の人では、ペースが違うのは当たり前。
自分は今どのフェーズにいるのかを紙に書き出して、「これはこれで別レース」と線を引くようにした。
② スピードではなく“リズム”で設計する
昔は「どれだけ早く成果を出すか」だけを見ていたけれど、今は
「どんなリズムなら1年・3年と続けられるか」を基準にしている。
そのために決めたのが、ざっくりとしたリズム設計だ。
- 1日のリズム:午前は集中タスク、午後は現場・夕方に整理
- 1週間のリズム:平日は走り、土日は「考える・整える」に振る
- 3カ月のリズム:チャレンジ → 調整 → 定着、のサイクルで見る
スピードは状況によって上がり下がりするが、
「自分なりのリズム」を決めておくと、ちょっと遅くなった日にも戻りやすくなる。
③ 見るタイムラインを“時間で区切る”
比較疲れを少しでも減らすために、SNSを見る時間帯も決めた。
朝イチと夜寝る前には開かない。
自分が一番弱くなるタイミングで、他人のスピードを流し込まないようにしたのだ。
代わりに、「今日は誰かひとりの投稿だけ、ちゃんと読む」と決めて、
羨ましさよりも「学び」を拾いにいくスタイルに変えていった。
それだけでも、「自分は何もしていない」という感覚は少しずつ和らいでいった。
3. それでも前に進む理由——自分のゴールを思い出す
他人のスピードに飲まれそうになったとき、最後に立ち返るのは
「そもそも、自分はどこに向かいたいんだっけ?」という問いだ。
・誰よりも早くゴールしたいのか
・誰よりも大きな数字を出したいのか
・それとも、「自分らしく働ける毎日」をつくりたいのか
再スタートの僕は、正直に言えば「前よりもゆっくりでもいいから、長く続けられる働き方」を選び直したいと思っている。
そのためには、短期的なスピード競争からは、一度距離を取らざるをえない。
他人のスピードは、あくまで「参考値」でしかない。
本当に大事なのは、今日の自分の一歩が、未来の自分のためになっているかどうか だ。
比較疲れから抜け出すペース設計は、派手さはない。
それでも、静かに自分のレーンを走り続けたい人にとっては、欠かせない土台になる。
もし今、「自分だけ遅い」と感じているなら、
それは「まだ走る余白が残っている」というサインなのかもしれない。
焦りを抱えながらでもいいから、自分のリズムで一歩ずつ進んでいきたい。
まとめ
- 他人のスピードに飲まれると、自分のレーンと距離が見えなくなる
- レースの種類を分ける・リズムで設計する・タイムラインを見る時間を決めることで、比較疲れは減らせる
- 最終的に守るべきは「自分のゴール」と「自分のペース」——今日の一歩が未来の自分のためになっているかを基準にする
次回予告
vol.140『“立ち止まる日の許可証”——進めない自分を責めすぎない休み方』
次回は、どうしても前に進めない日や、心と体が「今日はやめておけ」と訴えてくるときに、元社長として、そして再スタート中の今、どう“休む決断”をしてきたのかを書きます。ただのサボりにしないための休み方と、立ち止まる日の自分に出す「小さな許可証」についてまとめていきます。
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