vol.204『看板なき個の力——元社長が「自分自身」を商品にして気づいた商売の極意』

シリーズ①:Re:START NOTE|”止まりながら進む日々”

⏱ 読了目安:約3分

「会社名なんてどうでもいい。あんたから買いたいんだ」——その言葉に、俺の崩れかけた自尊心は救われた。

「看板を失った俺には、何が残っているのか?」その問いへの答えは、現場に落ちていた。

かつては「〇〇会社の代表」という名刺一枚で、扉は勝手に開いた。だが今は、名もない営業代行の一兵卒。誰も俺の過去など知らないし、興味もない。しかし、必死に泥を啜りながら顧客の課題に並走したとき、返ってきたのは会社への信頼ではなく、俺という「人間」への信頼だった。

テクニックや資本力ではない、商売の本当の「根っこ」に触れた一日の記録。

「自分」を商品にする覚悟が決まったとき、営業は作業から「対話」へと変わった。

こんな人に読んでほしい

  • 「自分には何もない」と今の環境で無力感を感じている人
  • 過去の成功体験が今の現場で通用せず、自信を失っている人
  • 小手先の営業テクニックに限界を感じ、商売の本質を知りたい人

この記事で伝えたいこと

  • 「看板」がないからこそ伝わる、むき出しの誠実さという武器
  • 顧客が本当に買っているのは、商品ではなく「安心感」と「覚悟」
  • 自分をさらけ出す勇気が、相手の心の扉をこじ開ける

1. 名刺の重みではなく、言葉の重みで勝負する

これまでの俺は、会社のブランドという巨大な「盾」の後ろに隠れて商売をしていたことに気づかされた。看板が消えた今、俺にあるのは、これまで積み上げてきた失敗と、そこから学んだ執念、それから目の前の相手を救いたいという純粋な想いだけだ。

ある新規案件の商談で、俺はスクリプトを脇に置き、自分がどん底からどう立ち上がろうとしているかを正直に話した。すると、それまで険しい表情だった相手が「あんた、面白いな」と笑った。テクニックで説き伏せるのではなく、一人の人間として対等に並んだ瞬間、商売は動き出した。

2. 比べないことが教えてくれた「唯一無二の価値」

若手の営業マンは数字の速さで競う。かつての俺なら、その規模感で彼らを圧倒しようとしただろう。だが今の俺は、彼らと競うのをやめた。代わりに「誰よりも深く、相手の痛みに共感すること」に特化した。

元経営者だからこそわかる、資金繰りの苦しみ、組織の孤独、決断の重み。それらを「知っている」ということが、どんな派手なプレゼン資料よりも強い共感を生む。過去を「栄光」としてではなく、顧客の心に寄り添うための「経験」として使い始めたとき、俺にしか出せない価値が明確になった。

3. それでも前に進む理由

商談が決まった帰り際、顧客に「あんたの熱に負けたよ」と言われたとき、鼻の奥がツンとした。かつての数億円の契約よりも、この一言がどれほど俺の存在を肯定してくれたか。

看板がなくても、俺は戦える。むしろ看板がない今の方が、俺の言葉は真っ直ぐに相手に届いている。この「個の力」を磨き抜いた先に、かつて見ていた景色とは全く違う、もっと強固で美しい再起の山頂があると確信している。俺の戦いは、ここからが本番だ。

まとめ

  • 「看板」という幻想を捨てたとき、個人の真のブランドが立ち上がる
  • 相手の「痛み」に寄り添う経験こそが、最高の付加価値になる
  • 商売の極意は、技術ではなく「人間としての覚悟」を届けること

次回予告

vol.205『手の震えが止まった日——「元社長トラウマ」を乗り越えた、初プレゼンの奇跡』

順調に見えた再出発。だが、重要なプレゼンの場で、かつての「倒産」の記憶がフラッシュバックし、手が震え出した。窮地に立たされた俺を救ったのは、意外な人物からの激励だった──。

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