vol.198『“実績ゼロ”の再就職活動——元社長のプライドを捨てて泥水を啜る覚悟』

シリーズ①:Re:START NOTE|”止まりながら進む日々”

⏱ 読了目安:約3分

40代、元社長。世の中から見れば、俺はただの「使いにくいおじさん」だった。

「昨日までの俺」を殺さなければ、明日の飯は食えない。

かつては何十人もの社員を率い、数億円の数字を動かしていた。だが、いざ再就職の市場に放り出されると、そこにいたのは「現場の実務スキルが止まった40代」という残酷な現実。面接官は、かつての俺の部下よりも若い。投げかけられるのは、「で、あなたに今何ができますか?」という冷ややかな問いだけだった。

プライドという名の重い鎧を一枚ずつ剥ぎ取り、泥水を啜ってでも「一兵卒」からやり直すと決めた、あの屈辱と覚悟の記録。

かつての肩書きを捨て、一人の「挑戦者」として再び門を叩く。

こんな人に読んでほしい

  • 積み上げたキャリアが崩れ、再出発に怯えている人
  • 「自分には価値がないのではないか」という焦りの中にいる人
  • プライドが邪魔をして、新しい環境に飛び込めない人

この記事で伝えたいこと

  • 「元〇〇」という肩書きは、再出発においては最大の障害になり得る
  • ゼロからのスタートを「恥」ではなく「最強の経験」と捉え直す
  • 足元の一歩を踏み出すために必要な「メンタルの損切り」

1. 履歴書の空白と、若き面接官の視線

  再就職活動を始めて最初に突きつけられたのは、圧倒的な「場違い感」だった。スーツを新調し、鏡の前で気合を入れても、履歴書に並ぶ「代表取締役」の文字が、今の俺には皮肉な飾りにしか見えない。 営業職の面接。20代後半に見える面接官は、俺の過去の実績に一通り目を通した後、こう言った。「マネジメントの経験は素晴らしいですが、今の弊社のツール、使いこなせますか?」 その瞬間、喉元まで出かかった「そんなものすぐに覚えられる」という言葉を飲み込んだ。俺が売っていたのは『自分』という過去の商品であり、市場が求めている『即戦力』ではなかったんだ。

2. 「過去の自分」と比べないための儀式

  再就職活動中、最大の敵は他人のSNSでも景気の良さそうな話でもない。「全盛期の自分」だった。「あの頃はもっと稼いでいた」「あの頃はあんなに尊敬されていた」。その比較が、今目の前にある小さな求人票を卑小なものに見せてしまう。 俺がやったのは、毎朝「今の俺は実績ゼロの新人だ」と鏡に向かってつぶやくこと。過去の栄光を一度死なせる。比べないことが教えてくれたのは、泥臭いテレアポの一本、飛び込みの一件に一喜一憂できる、あの頃の純粋な「営業の楽しさ」を思い出すことだった。

3. それでも前に進む理由

  不採用通知が積み上がるたびに、心が折れそうになる。内側の焦りは、夜眠れないほどの動悸となって襲ってくる。それでも、俺は歩みを止めなかった。 なぜなら、一度「更地」になった俺が、ここで泥を啜らなければ、本当の意味で自分を許すことができないと思ったからだ。元社長というブランドではなく、剥き出しの自分がどれだけ通用するか。その戦いこそが、俺の人生の第2章を創り出す唯一の道だと信じていたからだ。

まとめ

  • 過去の肩書きは、一度脱ぎ捨てなければ新しい服は着られない
  • 「何もない自分」を認めることが、最強の武器になる
  • 焦りは「一歩」でしか消せない。まずは、目の前の「今できること」に没頭する

次回予告

vol.199『年下上司に頭を下げる日——「かつての部下」の年齢に教えを請う屈辱と発見』

ようやく決まった再就職先。そこで待っていたのは、自分の息子ほども歳の離れた若きリーダーだった。かつて指示を出す側だった男が、指示を受ける側へ。その時、俺の心の中で何が壊れ、何が生まれたのか──。

おまけ・SNS連携

  更新情報はX(旧Twitter)でも発信中!
  @Okin_san_

    
               
      

元社長のリアル再出発ストーリーをお届けします

  
タイトルとURLをコピーしました