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「今回は見送りで」を、“次回は通す”ためのチェックリストに変える。
否決された稟議書を、そっとシュレッダーに入れていた時期がある。
あの頃の僕は、「ダメです」の一言を、自分の能力や人間性の否定として受け取っていた。でも社長になって分かったのは、決裁側は“条件”しか見ていないということだ。
一度の否決で終わるか、“条件付きOK”のログを次の案件に活かすか——この差が、1年後の受注率や社内での信頼を大きく分ける。今回は、その具体的な設計図の作り方を書いていく。

こんな人に読んでほしい
- 同じような理由で何度も稟議を差し戻されている担当者
- 「またあの部長に止められた…」と感情だけが溜まっている現場リーダー
- 否決された案件を、次の提案や別案件にうまく活かせていない管理職・元経営者
この記事で伝えたいこと
- “条件付きOK”をその場限りで終わらせないログ化の視点
- 否決ログをチェックリスト・テンプレ・根回しルートに落とし込む具体的な型
- 一度の否決を、次の案件の「ショートカット設計図」に変える考え方
1. 否決ログは「3つの条件」で一行にまとめる
まず、一度の否決を“感情の記憶”ではなく、“条件のログ”に置き換えるところから始める。
元社長として振り返ると、ほとんどの否決理由は次の3つのどれかに分類できた。
- お金:初期コスト・ランニング・投資回収期間
- リスク:セキュリティ・運用体制・法務チェック
- 人:誰の工数がどれだけ増えるか・責任の所在
否決メールや議事録を読み返し、「今回は◯◯が満たせていなかった」という形で一行にまとめていく。
否決ログの書き方(例):
・2025/02/10_A社向けDX提案
→「初期コストのピークが第1四半期に集中している」懸念
・2025/03/02_社内ワークフロー改修
→「運用担当2名の工数増が定量化できていない」懸念こうして貯めていくと、「いつもお金で止まる」「あの部門の工数で詰まる」 といったパターンが浮かび上がる。ここからが設計図づくりのスタートだ。
2. チェックリストとテンプレに“条件付きOK”を埋め込む
次にやるのは、「もう二度と同じ理由では止められない仕組み」を作ることだ。ここでは、否決ログをそのままチェックリストとテンプレ文に翻訳していく。
チェックリスト例:
□ 初期コストのピーク月は決裁者の“予算の山”とズレていないか
□ 運用担当者の工数は「誰が・何分/日」を明示しているか
□ リスク項目に「◯月◯日までに対応」の期日を添えているかさらに、よく出る“条件付きOK”は、そのままテンプレにしてしまう。
テンプレ文例:
「初期コストについては、◯月〜◯月にピークが来ないよう
◯年分割/開始月スライドでのご提案としています。」
「運用工数については、初期2週間のみ◯◯部と共同運用とし、
その後は◯◯ツール自動化により日次◯分以内に収まる設計です。」こうしておくと、次の案件からは「そういえば前も同じように聞かれたな…」と悩む必要がなくなる。
否決された一言が、そのまま“事前に書いておくべき一行”に変わる。
3. 根回しルートを“否決から逆算”で描き直す
最後に、根回しルート自体を否決ログから逆算してアップデートする。
「誰が、どのタイミングで、どんな条件を気にするのか」が見えたら、それをルート図にしてしまう。
根回しルートの見直し例:
・経理部長:必ず「ピーク月」と「回収期間」を事前共有
・情報システム:セキュリティレビューの期日を先に握る
・現場リーダー:工数イメージを“1日何分”に翻訳して相談元社長目線で言うと、「どの条件で止められるか分かっている提案」は、止める側もやりづらい。
逆に言えば、そこまでやる担当者は、“決裁の設計者”として社内評価も変わってくる。
否決ログは、恥ずかしい過去ではなく、未来の案件をショートカットする“社内資産”だ。
一度痛い思いをしたからこそ、次の一手を冷静に設計できる。その積み重ねが、「あの人の提案は通りやすいよね」という空気をつくっていく。
まとめ
- 否決の理由は「お金・リスク・人」の3つに分解し、一行ログとして残す
- “条件付きOK”はチェックリストとテンプレ文に翻訳し、次回以降の標準装備にする
- 根回しルートは、否決ログから逆算して描き直し、「通りやすい提案」の設計図に変える
次回予告
vol.128『“社内資産としての否決”——負け試合からしか拾えないもの』
次回は、一度通らなかった案件が、半年後・一年後に“別の形で効いてくる”話。否決された提案書・議事録・条件付きOKを、教育・採用・新規事業の種として再利用する、元社長流の「負け試合の活かし方」を書きます。
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