vol.133『“静かな朝のスイッチ”——再スタートを支える5分の整え習慣』

シリーズ①:Re:START NOTE|”止まりながら進む日々”

⏱ 読了目安:約3分

朝イチのたった5分が、その日の“心のOS”を決めていく。

目が覚めた瞬間から、もう頭の中ではToDoリストが流れ始めている——元社長時代の僕はいつもそんな朝だった。

スマホの通知、未読メール、今日の会議、数字のプレッシャー。布団からまだ出ていないのに、心だけがすでにフルスロットルで走らされている。そんな状態で一日をスタートしても、昼にはもうヘトヘトになっていた。

夜に思考をシャットダウンする儀式をつくったなら、朝には“静かに立ち上げるスイッチ”が必要になる。今回は、忙しい日でも5分あればできる、現場目線の「朝の整え習慣」をまとめていく。

静かな朝の光の中で、1日を整える小さなスイッチを入れるシーン

こんな人に読んでほしい

  • 起きた瞬間から仕事のことを考えてしまい、心が休まった気がしない人
  • 朝のバタバタでいつも一日が“流される側”から始まってしまう人
  • 再スタートの毎日を、少しでも落ち着いた状態で迎えたい社長・営業の人

この記事で伝えたいこと

  • 朝の5分が、その日の“心のOS”を決めるという視点
  • 忙しい日でも続けられるシンプルな「静かな朝のスイッチ」の作り方
  • 内側の焦りを抱えたままでも、足元の一歩を守るための整え方

1. スマホから始まる朝に、飲み込まれていた頃

社長をしていた頃の朝は、だいたいスマホから始まっていた。
目が覚めて、なんとなくメールを開く。
夜のうちに届いた取引先からの連絡、社内のチャット、数字の報告…。

ベッドの上で通知を追いかけているうちに、
「あ、あの件どうするんだっけ」「この数字、今日中に詰めないとまずいな」
と、起き上がる前から心拍数だけが上がっていった。

そのままバタバタと家を出て、慌ただしくPCを開き、気づけば午前中が終わっている。
一日が「押し寄せてくる波」に対処するところから始まっていた。

ある朝、ふと
「このままの朝を、あと5年続けられるか?」
と自分に聞いてみたら、正直に言えば「無理だ」と思った。

そこから、「最初の5分だけは、外からの情報を入れない」と決めてみた。
スマホを触る前に、自分のスイッチを入れる時間を取ることにしたのだ。

2. 再スタートを支える「静かな朝の5分ルーティン」

朝のスイッチは、立派なモーニングルーティンである必要はない。
大事なのは「自分で一日を始めた」と感じられること。
僕が実践していたのは、こんなシンプルな3ステップだった。

① 深呼吸3回+「今日はどんな一日にしたい?」と聞いてみる(1分)

ベッドに座ったままでもいいので、ゆっくり深呼吸を3回。
そのあと心の中で、自分に一問だけ投げる。
「今日はどんな一日にしたい?」
すぐに答えが出なくてもいい。「落ち着いて決めたい」「一つだけ前に進めたい」——浮かんだ言葉をそのまま受け止める。

② 昨夜の“未完了メモ”をひと目だけ見る(2分)

デスクに座ったら、PCを開く前にノートを開く。
夜に書いた「明日の一歩」を確認するだけ。
新しいToDoを書き足さない。
ただ、「まずはこれから」の旗をもう一度眺めるイメージだ。

③ 今日の「一歩」を1行だけ書き足す(2分)

その上で、
「この一歩が進めば、今日は合格」
と思えることを1行だけ書く。
大きなプロジェクトの完了ではなく、「誰かに確認する」「1本だけ電話する」くらいの小ささでいい。

ここまでで5分。
それだけで、スマホから始まる朝よりも、
ほんの少しだけ、自分の足で立っている感覚が戻ってくる。

3. それでも朝はバタバタする。だからこそ「戻れる場所」をつくる

もちろん、毎日この通りにいくわけではない。
寝坊する日もあるし、いきなり電話が鳴る朝もある。
子どもの用事や、急な予定変更が入ることだってある。

大事なのは、
「完璧にやること」ではなく、「いつでも戻れる場所を決めておくこと」だと感じている。

たとえ今日は深呼吸しかできなくても、
たとえノートを開く時間が1分しかなくても、
「ここに戻れば、自分の一歩を思い出せる」という場所があれば、再スタートは何度でも切り直せる。

内側の焦りは、ゼロにはならない。
それでも、静かな朝の5分があれば、
「今日もなんとかやれそうだ」と思える瞬間はつくれる。

朝から全力疾走ではなく、
まずは“静かなスイッチ”をカチッと入れるところから。
そんな再スタートの朝が増えていくと、仕事の景色も少しずつ変わっていくのかもしれない。

まとめ

  • スマホと通知から始まる朝は、「流される一日」になりやすい
  • 静かな朝の5分(深呼吸・未完了メモ・今日の一歩)で、自分のスイッチを入れ直す
  • 完璧なルーティンよりも、「いつでも戻れる朝の場所」を決めておくことが再スタートを支える

次回予告

vol.134『“昼のリセット5分”——午後の失速を防ぐ小さな中間メンテ』

次回は、午前中に消耗しきってしまう日でも、午後をもう一度立て直す「昼のリセット」について書きます。現場で実際に使っていた、5分でできる中間メンテナンスと、気持ちの切り替え方をまとめていきます。

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