vol.97『“見える壁1枚”——KPIは現場の前でしか育たない』

シリーズ①:Re:START NOTE|”止まりながら進む日々”

⏱ 読了目安:約3分

ダッシュボードは開かれない。壁は、嫌でも目に入る。

数字は“見える場所”に置いた瞬間から、現場の言葉になる。

元社長の頃、精巧なダッシュボードを作ったが、誰も朝に開かない。
ならばと壁に“1枚だけ”貼った。ペンで線を引く音が、売上のリズムに変わった。

数字は会議室では育たない。現場の動線上でしか、意思決定の筋肉にならない。

入口横の壁にKPIを1枚だけ掲示し、毎朝手書き更新するシーン

こんな人に読んでほしい

  • KPIは決めたのに、現場が数字で会話してくれないと悩む人
  • ダッシュボードのアクセス数が伸びず、会議だけが増えている人
  • 今日やるべきことが曖昧で、毎朝の立ち上がりが遅いチームの責任者

この記事で伝えたいこと

  • 「見える壁1枚」=KPIは物理で置くと行動が変わるという視点
  • 壁KPIの設計は“1指標・3色・手書き10秒”で十分
  • 明日から導入できるテンプレと、定着のコツ

1. 壁1枚を置いた日、数字が“現場の言葉”になった

以前の僕は、ダッシュボードの美しさに酔っていた。指標は多く、グラフは滑らか。
でも現場は忙しい。朝にPCを開く前に、作業は始まっている

そこで、入口横に「A3×1枚の壁KPI」を設置。ルールは3つだけ。
指標は1つ(例:その日の“新規アポ数”or“出荷完了数”)
3色のペン(赤=警戒域/黒=通常/青=達成超過)
更新は10秒(朝・昼・終業に縦線を1本)

たったこれだけで、「あと3本で青」が合図になり、手が自然と最優先に向いた。
会議が減って、“いま何をやるか”の迷いが消えた。

2. 比べない可視化——“うち流”は薄く・速く・手書き

他社のKPIボードを真似して要素を増やすと、翌週には誰も書かない。
うち流の原則は、薄い・速い・物理

指標は1つだけ(日替わりにしない)。
目標線はテープで固定(定規で毎日引かない)。
更新者は当番制(責任の所在を回す)。
・壁の位置は動線の正面(入口/休憩スペース横など)。
・詳細分析はダッシュボードへ。壁は行動のスイッチに徹する。
これで、「数字を見るための時間」ではなく、「数字で動く時間」が増える。

3. 明日から使える“見える壁1枚”テンプレ

用意するもの:A3ホワイトボード/マスキングテープ(目標線)/赤黒青ペン/マグネット3個。
版下レイアウト

[タイトル] 今週KPI:新規アポ数(目標=15)
────────────────────────  ← 目標ライン(テープ)
日  月  火  水  木  金  土
│  │  │  │  │  │  │   ← 縦軸=累計本数(5刻み)

更新ルール
・朝=ゼロ基準線を黒で1本、昼=進捗を黒で1本、終業=最終を赤/青で上書き。
アラート:昼の時点で目標の40%未満なら赤丸→優先タスクを壁にメモ
称賛:達成超過は青星★を1つ(翌朝の朝礼代わり)。

定着のコツ
・最初の2週間は“更新当番表”をボード横に掲示。
・週末にスマホで写真を撮り、チームチャットへ一言共有(壁⇄オンラインの橋渡し)。

まとめ

  • KPIは“見える壁1枚”に置くと、現場のスイッチになる
  • 1指標・3色・手書き10秒——薄い運用ほど続き、速い
  • 壁は行動のスイッチ、分析はダッシュボード——役割を分ける

次回予告

vol.98『“忙しさログ”を捨てる——成果の前に、余白を作る』

次回は、忙しさを積む文化からの離脱。余白を先に確保して、成果の密度を上げる運用に切り替える話を書きます。

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