vol.107『“係長フィルター”——中間承認を一発で通す言い換え』

シリーズ①:Re:START NOTE|”止まりながら進む日々”

⏱ 読了目安:約3分

通らない稟議は、内容より“言い方”で落ちている。

中間承認は「賛成・反対」ではなく「責任が取れるか」で決まる。

元社長の頃、係長で止まる案件は共通していた。数字はある、根拠もある――でも、彼らの言語じゃない。
僕はそこで“係長フィルター”を見つけた。現場運用・トラブル時・上申時の三語に言い換えるだけで、通過率が跳ね上がった。

言葉を変えれば、印鑑は動く。中間承認の鍵は、彼らのリスク文法だ。

“係長フィルター”を通る言い換えで、稟議の詰まりを解消するシーン

こんな人に読んでほしい

  • 部長の前に、いつも係長で差し戻される営業・企画担当
  • 内容は同じなのに、人によって通ったり落ちたりすることに悩む人
  • 小規模事業で“回覧の速度”を上げたい経営者

この記事で伝えたいこと

  • 係長は“運用リスクの管理者”という視点を持つこと
  • 通る言葉=「現場運用・トラブル時・上申時」の3点言い換え
  • 明日から使える3行テンプレと、会議前の先回り運用

1. “係長フィルター”との出会いで変わったこと

以前の僕は、投資対効果で押し切っていた。だが係長はP/Lの前に現場の火消しを見る。
そこで、提案を次の3行に圧縮して、先に係長へ回す運用に変えた。

【現場運用】導入当日からの手順(1ページ/GIF1枚)、初週は当社常駐
【トラブル時】閾値で自動ロールバック、一次連絡は当社が受ける、SLA99.9%
【上申時】要点1枚を添付、係長コメント欄つき(懸念→対応を三項目)

これだけで、「うちの現場で回るのか?」「止まったら誰が責任?」の疑いが消え、承認のハンコが前に進むようになった。

2. 比べない言い換え——“係長の責任語”で3行にする

他社の華やかな提案書は不要。係長が上に説明するための言葉に揃えるだけで良い。

■ NG(経営語)
「ROIが3ヶ月で反転します。LTVも○%改善します。」

■ OK(係長語)
「初週の運用は当社担当が常駐します。手順は1ページです。
 障害時は当社一次受けで、復旧平均時間は60分想定です。
 上申用の要点1枚を添付します。懸念3点は欄外に記載済みです。」

ルール:
・数字は現場の単位で(時間・回数・手順数)。
・責任分界は主語を明確に(「当社が一次受け」「御社は承認のみ」)。
係長コメント欄を用意して“自分ごと化”を促す(書けば通す)。

3. それでも前に進む理由

係長は“現場の盾”。その盾に刺さらない言葉で話すから、差し戻される。
だから、盾の形に合わせて言葉を削る。運用・障害・上申の3点が整っていれば、係長は上に押しやすい。
中間承認は敵ではない。一緒に上へ通す相棒だ。

まとめ

  • 係長は「運用・トラブル・上申」の管理者——数字より責任の文法で話す
  • 3行テンプレ(現場運用/トラブル時/上申時)を先に回す
  • 主語を明確に、単位は現場語で、コメント欄で“自分ごと化”

次回予告

vol.108『“稟議の最短ルート”——席順とメール順で日付が決まる』

次回は、席順・配布順・メール順を一本化して、承認日付を前倒しする導線設計を解説します。

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