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音と間合いが、商談の勝敗を決める。
ドアが閉まる音、椅子のきしみ、相手の呼吸。——そこに“合図”は落ちている。
元社長として何百回もテーブルに着いた。資料より先に見るのは“空気の拍”。
初動は深く1拍、質問では2拍ため、クロージングで1拍切る。たったそれだけで、会話の主導権は戻ってくる。内側の焦りは消えない。だからこそ、現場×感情×学びの三軸で呼吸を整える——それが今日の話だ。

こんな人に読んでほしい
- 説明は通るのに、最後の「はい」が遠いと感じている営業担当
- 緊張で早口になり、相手の間合いを崩してしまう管理職
- 資料を磨くより、会話の質を上げたい小規模事業のリーダー
この記事で伝えたいこと
- “音と間”を手がかりに商談リズムを回復する視点
- 初動・沈黙・クロージングを整える“三拍子”の具体
- 毎回の学びを次回へ持ち越す、15秒の復習ルーチン
1. “三拍子”との出会いで変わったこと
昔の僕は、商談の序盤で勝負をつけようとしていた。結果は息切れ。
ある時、現場の“音”を採取した——入室の足音、名刺交換の擦れ、椅子のきしみ。そこから気づいたのは、勝つ人は皆、呼吸が同じリズムだということ。以降はこの三拍に統一した。
【初動:1拍深呼吸】着席→資料を出さずに深く1拍。相手の机上を観察。
【沈黙:2拍ためる】相手が話し終えたら呼吸2拍分、目線だけで受ける。
【クロージング:1拍で切る】「本日はA/Bのどちらで進めますか」→1拍置いて黙る。これだけで、早口は止まり、相手の言葉が増える。
現場(音)がヒントになり、感情(焦り)は呼吸に縛られ、学びが毎回1つ残るようになった。
2. 比べない営業——相手の呼吸に合わせる三つの技
「あのトップ営業みたいに喋れない」と比べるほど、呼吸は乱れる。今日からは“音”で合わせる。
① 入室音の合わせ:相手が椅子を引く音に同期して着席。挨拶はその0.5拍後。
② ペンの音ストップ:あなたが要点に触れた瞬間、ペンを置く“無音”をつくる。
③ 書類のめくり:重要ページの直前で1拍止め、相手が前傾になったらめくる。技ではなく速度の合わせ。相手の“間”に乗れば、説得よりも早く合意の地面が見えてくる。
3. それでも前に進む理由
焦りは止まらない。だから、事前に三拍子を決めておく。
商談後は15秒だけ振り返る——「一番良い沈黙はどこだった?」。スクショ(議事メモ・メッセージ履歴)を1枚保存。
次の商談では、その1枚を呼吸の合図にする。
呼吸は武器ではなく、自分の速度へ戻るための橋だ。
まとめ
- “音と間”を拾い、初動・沈黙・クロージングの三拍で整える
- 技ではなく速度合わせ——相手の呼吸に同期する
- 15秒の復習とスクショ1枚で、学びを次回へ持ち越す
次回予告
vol.114『“顧客メモは三語”——ニーズは名詞でしか残らない』
次回は、会話の余白を潰さないメモ術。形容詞を捨て、名詞三つで意思決定を早める——現場の手と心が軽くなる書き方を解剖します。
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