vol.86『KPIは“3指標だけ”——追う数が減るほど、数字は伸びる』

シリーズ①:Re:START NOTE|”止まりながら進む日々”

⏱ 読了目安:約3分

指標は増やすほど、現場は遅くなる——3つ残して、他は捨てた。

社長室のダッシュボードは賑やかだった。けれど、営業は動かなかった。

元社長の私は、毎週“きれいな数表”を眺めながら、目の前の受注が1件も増えない現実にうんざりしていた。そこで腹を決めた。KPIは3つだけ。先行・中間・結果――この3本で全員の視線を揃える。

数を減らした週から、電話の回数も、商談の密度も、受注のスピードも上がった。

“3指標”に絞った瞬間、動きが揃いはじめる

こんな人に読んでほしい

  • ダッシュボードは充実しているのに現場が動かないと感じている人
  • 会議で指標の定義争いばかりして、打ち手に時間を使えていない人
  • 営業・CS・マーケを一列に並べ、短期で成果に寄せたいリーダー

この記事で伝えたいこと

  • KPIは「先行・中間・結果」の3本に固定すると行動が揃う
  • 定義と計測の窓口を一本化すると、議論が消えて改善が始まる
  • “毎日見る1枚”が、現場の意思決定スピードを上げる最短の装置になる

1. “3指標”との出会いで変わったこと

私が採用したのは、営業~納品の横断で通用する3本柱だけ。

先行(Leading)有効コンタクト数/日(直近24hで顧客の反応があった接点)
中間(Intermediate)提案到達率(MQL→提案化%または提案提出本数/週)
結果(Lagging)受注金額(週次/粗利ベース)

ルールは単純。朝会は3指標のスクショ1枚のみ、会議では打ち手だけを語る。定義は付箋1枚に固定し、誰が計測するかも一人に絞った。
3週間で起きた変化は具体的だ。先行が上がった日の翌週、中間が伸び、さらに翌週に結果が追随する“遅れ”が見える。見えるから、打ち手が当たる。ダッシュボードを削ったら、現場は速くなった。

2. 比べないことが教えてくれたもの

他社の華麗な指標セットを真似ても、私の現場は回らなかった。効いたのは、定義の厳密さを上げること。
有効コンタクト=相手の反応が取れた接点のみ(開封・既読は除外、返信/通話/予約のみカウント)
提案到達=決裁者に提出された提案書のみ(同席が無ければノーカウント)
受注=発注書/サイン済み契約の回収完了時点(口頭合意は不可)
さらに、色分け(赤=未達/黄=微差/緑=達成)とWIP制限(同時案件数の上限)を導入。数字が悪い日は、原因を「活動量/変換率/客単価」のどれかに強制分類。議論が「どれを増やす?」に絞られる。

3. それでも前に進む理由

指標を捨てるのは怖い。見るものが減るからだ。だが、見る数を減らすほど、動く数は増える
私は“3指標だけ”を毎朝見る。良くても悪くても、打ち手は3つだけ書く。数字は鏡、行動がメイク。現場のスピードは、鏡の枚数ではなく、メイクの手数で決まる。

まとめ

  • KPIは「先行・中間・結果」の3本に固定し、定義を付箋1枚で共有
  • 朝会はスクショ1枚、議論は打ち手のみ——原因は3分類で即決
  • 見るものを減らして、動きを増やす。数字は自然に追いついてくる

次回予告

vol.87『予算は“ゼロベース×90日”——上期のムダを切り返す』

次回は、積み上げ型で膨らんだ予算をどう切り戻したか。ゼロベースで90日スパンに割り直し、キャッシュを守りながら攻め筋を作った裏側を書きます。

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